カンボジアの中央銀行は28日、日本企業の技術を採用したデジタル通貨の運用を開始した。ブロックチェーンを基盤とする中央銀行デジタル通貨システム「バコン」は、カンボジアのリテール決済と銀行間決済を支える。
カンボジア国立銀行は、フィンテック企業のソラミツ(東京・渋谷区)と共同でバコンを開発。昨年7月からカンボジア全土で試験運用を行ってきた。
カンボジア国内の電話番号を持っていれば、バコンのスマートフォンアプリを使うことができる。デジタルリエルまたは米ドルのウォレットを保有し、QRコード等を通じて個人間や企業間の送金や、店舗での支払いが可能だ。
東南アジア諸国の共通課題
送金手数料はかからず、安全でスピーディなデジタル通貨決済システムの導入は、金融基盤のデジタル化を進めるカンボジアにとって、大きな一歩となった。
スマートフォンの普及率は高まる一方、多くのカンボジア国民は銀行口座サービスなどの金融サービスにアクセスできない状況にある。東南アジアの国々にとっては共通する社会課題で、バコンはカンボジアの金融包摂を強化する施策の一つでもある。
ソラミツはブロックチェーン「ハイパーレジャーいろは」の開発に参画してきた。カンボジア中央銀行は、同技術がバコンのリテール決済部分に最も適していると判断し、ソラミツとの共同開発を進めてきた。
ソラミツの最高経営責任者、武宮誠氏は、「カンボジア国立銀行と3年以上にわたって熱心にソリューションを構築してきた。現在、他の国や新しい市場に展開するための技術を準備している」と28日付の発表文で述べた。
編集:佐藤茂
写真:カンボジアの首都プノンペン(Shutterstock)