ここ数カ月のビットコイン価格の上昇によって、年末までに価格は2万ドル(約209万円)を超え、最高値を更新するのではないかという議論が再燃している。だがビットコインオプション市場は引き続き、その可能性は低いと見ている。
データサイトのスキュー(Skew)によると、ビットコイン(BTC)が12月末までに2017年に記録した史上最高値の2万ドルで取引される可能性は、当記事執筆時点で6%だ。
「年末までに最高値を更新する可能性が10%以下ということは、市場はそうした結果に関心がないことを意味する」とデリバティブ取引所アルファ5(Alpha5)の創業者でオプショントレーダーのヴィシャル・シャー(Vishal Shah)氏は述べた。
オプション取引は原資産の価値に基づいたデリバティブ(金融派生商品)で、満期日の当日またはそれ以前に、原資産の特定の数量を売買する権利を与えるもの。ただし義務ではない。コールオプションは保有者に買う権利を、プットオプションは売る権利を与える。
オプションの確率は、コールオプション価格、権利行使価格、ビットコインの現在価格、米国債などの「リスクフリー」金利、オプションの行使日といった主要指標に基づき、ブラック-ショールズ方程式を使って計算される。
年末には1万4000〜1万5000ドルか
ビットコイン価格はこの7カ月半で、3867ドル(約40万円)から1万3800ドル(約144万円)まで上昇した。しかし、価格が250%以上上昇した一方で、ビットコインが年末までに史上最高値を更新する可能性は4%から6%へと、わずかな上昇を見せただけだ。確率が8%と最も高い数字を記録したのは7月のことだ。
つまり、オプション市場は年末までにビットコインが2万ドルに達する可能性に低い数値を出しているのかもしれない。
だが、必ずしもそうではない。ビットコインには今、2万ドルまで50%上昇するために8週間しか残されていないからだ。3月にはビットコインが史上最高値に挑むためには3四半期、つまり9カ月残されていた。期日までの期間が少なくなればなるほど、価格が特定の水準を超える確率は小さくなる。
さらに、ビットコインが2カ月で50%以上上昇したのは、10年の歴史の中でもわずかに8回しかなく、そのうち3回は2017年の強気市場の熱狂の中で起きた。
年末までの残り時間が少なくなったことと、ビットコインの過去の値動きを考慮すると、オプション市場が年末までに史上最高値を更新する可能性を6%と見ているのは合理的かもしれない。
「オプション市場は最近の力強い価格の勢いに有頂天になっていないようだ。ビットコインの値動きと年末までの過去90日のボラティリティを使って推定すると、ビットコインは1万4000ドル(約146万円)から1万5000ドル(約156万円)の間で1年を締めくくるだろう」とCFベンチマークス(CF Benchmarks)のスイ・チュン(Sui Chung)CEOは予測した。
オプション市場は現在、年末までに価格が1万4000ドルを超える確率を40%と見ている。
価格が年内に最高値を更新する確率は、ビットコインが2019年6月に記録した1万3880ドルの高値を素早く超えると高まるだろう。テクニカルチャートによると、1万3880ドルと2万ドルの間には抵抗線はほとんど存在しない。
翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸、佐藤茂
画像:TradingView
原文:Bitcoin’s Options Market Sees Just 6% Chance of $20K Before Year’s End