ネットワークのトラフィックの混雑により、ビットコインの取引手数料が急激に上昇している。
データサイトのグラスノード(Glassnode)によると、平均取引手数料は10月28日時点、0.00086764ビットコイン(BTC)。2018年6月以来の高水準となった。ドル換算で11.66ドル(約1215円)となる。
ビットコインの平均取引手数料はこの12日間に6倍以上に膨れた。一方、ビットコインの価格は同期間で1万1200ドル(117万円)から1万3800ドル(約144万円)の上昇にとどまっている。
「ビットコインのメモリプール(mempool:送信された取引が一時的に格納される場所)は、取引の増加で再び注目を集めている。ネットワークの混雑を引き起こし、結果的に手数料の上昇につながっている」とロンドンのプライム・ブローカー、ベクワント(Bequant)のデニス・ビノコウロフ(Denis Vinokourov)氏は述べた。
ネットワークの混雑は1800%悪化
メモリプールは検証待ちの取引が一時的に保存される場所。ビットコインの取引が実行されると、まずメモリプールに送られ、そこでマイナーによる検証を待つ。マイナーは、およそ10分ごとに1メガバイト(MB)相当の取引を処理する。
ブロックチェーンのトラフィックが増加すると、取引の遅延や多くの検証待ちが発生する。需要が供給を上回ると、マイナーたちは手数料の高い取引を優先する。つまり、ユーザーは長い待ち時間を避けるために高い手数料を提示せざるを得なくなる。
ネットワークの混雑は通常、市場価格が上昇している時に発生する。前述の通り、ビットコインはこの12日間で大幅な上昇を見せた。その間、メモリプールの検証待ち取引数から算出したネットワークの混雑は1800%も悪化した。
10月27日時点で、メモリプールの検証待ち取引数は12万1340件、ブロックサイズは66.8MBとなっていた。データサイトのブロックチェーン・ドットコム(blockchain.com)によると、これは2018年12月の強気市場と同水準。
ハッシュレートの下落も混雑の要因
価格上昇による取引の増加に加えて、最近のビットコインのハッシュレートの下落もネットワークの混雑の大きな要因となっているようだ。つまり、取引の検証とブロックのマイニングに割かれていたマイニングパワーが、価格が上昇するなかで低下し、待ち時間とネットワークの混雑を増加させている。
ビットコインのハッシュレートの7日移動平均は、146エクサハッシュ/秒(EH/s)から120EH/sに低下している。
ビットコイン・マイニングの拠点である中国・四川省の雨季が終わり、一部のマイナーが安価な水力発電を利用できる別の地域に移動しており、それがハッシュレート低下の要因となっている可能性がある。
翻訳:石田麻衣子
編集:増田隆幸、佐藤茂
画像:Blockchain.com
原文:Bitcoin Transaction Fees Rise to 28-Month High as Hashrate Drops Amid Price Rally