東証一部に上場するデジタルガレージのフィンテック子会社でブロックチェーン関連技術の開発を手がけるCrypto Garage(クリプトガレージ)は2019年4月19日、ビットコインのP2Pデリバティブ取引を行うプロトコルを開発し、カナダのBlockstream社と取引を実施したと発表した。取引に伴う契約リスクやコストを減らしながら、価格変動リスクを回避できる。
プロトコルは、MITメディアラボで仮想通貨とブロックチェーン技術に焦点を当てたリサーチコミュニティMIT Digital Currency InitiativeのリサーチサイエンティストThaddeus Dryjaが提案した技術をもとに、クリプトガレージが独自開発した。
開発した技術は、ビットコインブロックチェーン上のスマートコントラクトを用いており、契約当事者による合意と担保物を必要とする。また、ブロックチェーン外部から情報を取得するオラクルを備えており、両者が合意したデータフィードからビットコイン価格が自動で配信される。
現在の仮想通貨デリバティブ取引には、契約した相手による契約不履行や破綻などのカウンターパーティリスクが存在し、ISDA/CSA契約書等に関する専門知識も求められる。同プロトコルを用いることで、上記の課題を解消しつつ、ビットコインの価格変動リスクをヘッジすることができる。
同社は2019年中に、プロトコルをアプリとして提供する。また今後、このプロトコルをBlockstream社が提供するビットコインのサイドチェーン「リキッドネットワーク(Liquid Network)」上にも拡張する予定だ。リキッドネットワークは、BitbankやBitfinexなど大手を含む、23の仮想通貨取引所で運営されるコンソーシアムチェーン。
文:小西雄志
編集:浦上早苗