ブロックチェーンは核弾頭を安全に廃棄できる:ロンドン大学・報告書

ロンドン大学キングス・カレッジ(King’s College London)の研究機関は、ブロックチェーンを有効活用することで、核拡散防止条約の参加国が核弾頭の廃棄をより安全に信頼性の高い方法で行うことができると記したレポートをまとめた。

レポートは科学・セキュリティ研究センター(The Centre for Science and Security Studies=CSSS)が11月2日に発表した報告書で、タイトルは「トラスト・マシン:核軍縮と軍備管理の検証におけるブロックチェーン(The Trust Machine: Blockchain in Nuclear Disarmament and Arms Control Verification)」。

政策立案者に対して、ブロックチェーン技術を核軍縮の検証に必要な要件に適合させる方法を技術以外の観点から説明している。

レポートは、ブロックチェーンが核弾頭廃棄のデータ管理プロセスに与える具体的なメリットの1つとして、「条約が対象としているアイテムの一連の管理における不変かつ暗号化された記録」をあげ、核保有国以外の第三国などが核兵器に関するデータを実際に見ることなく、核弾頭の廃棄を確認できるようになると指摘した。

CSSSのリンドン・バーフォード(Lyndon Burford)博士が率いるチームはさらに、ブロックチェーンは位置センサーや環境モニター用の安全なデータプラットフォームを提供できると述べた。遠隔地からのリアルタイム監視が可能になり、「条約違反の可能性を参加国に自動的に警告する」としている。

核保有国は核兵器に関する機密データの公開に消極的なため、「こうした取り組みで協力するには互いに十分な信頼関係に欠けていることが多い」とバーフォード博士は述べた。

ブロックチェーンは核弾頭の廃棄に関するデータを管理するために暗号化し、改ざんできない手法を提供することで、高い信頼を構築するツールとなり得る(同レポート)。

翻訳:下和田 里咲
編集:増田隆幸、佐藤茂
写真:潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)「トライデント」(Bricktop/U.S. Navy/Wikimedia Commons)
原文:Blockchain Could Make Dismantling Nuclear Warheads More Secure: UK Report