ビットコインの渋滞、静まるイーサリアム【CoinDesk Research:10月号】

「徐々に、そして突然に(gradually then suddenly)」というフレーズはこれまで頻繁に、暗号資産に対する規制や機関投資家の関心を説明する上で使われてきた。

10月はその代表的な事例がいくつかあった。ペイパルの暗号資産サービスの発表、上場企業が資産の一部をビットコイン(BTC)で保有する動き、米銀最大手JPモルガン・チェースによる暗号資産に関する好意的なレポート報告……。

しかし、「突然」の出来事は起きていない。この市場は依然として「徐々に」の段階にいる。毎月、その時には重大に感じられる進展があるが、市場の進化という壮大な営みの中では、我々はまだ初期段階にある。スタート地点から出発し、コースの4分の1も走っていないだろう。

CoinDesk Researchのマンスリーレポート(10月号)は、ビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)市場で見られた進展と、オンチェーン指標が示す意味を探った。ビットコインネットワークの混雑とイーサリアムの技術的進化「イーサリアム2.0」が示すとおり、勢いは増している。市場やオンチェーンの指標が詳細な実態を表すようになるにつれて、ユースケースも徐々に明確になってきている。

ボラティリティの推移

ボラティリティの推移
出典 : Coin Metrics

ビットコイン(BTC)のボラティリティは10月、おおむね変化がなかったが、イーサリアム(ETH)のボラティリティは低下した。これはおそらく、ETH/BTCボラティリティレシオ(青色の線)の急上昇と下落が示しているとおり、ETHの30日ボラティリティがBTCよりも大幅に上昇した9月からの調整である可能性が高い。

ETH市場がBTC市場に比べて、まだ未成熟なことを浮き彫りにしており、ETHを支えるテクノロジーの変化の遅延が、進化する市場に大きな不透明感を加えていることを示している可能性がある。

ビットコインの混雑

ビットコインの混雑
出典 : Coin Metrics

平均ブロックウエイト(ブロックサイズについての新たな概念、青色の線)を見ると、ビットコインブロックは5月以降、ほぼ限界状態だ。これはブロックの生成間隔の平均時間(緑色の線)の上昇からもわかる。

ネットワークの混雑は、価格が上昇している時の一般的な特徴であり、通常は取引手数料の上昇につながる。しかし、最近のネットワークの混雑は、5月よりもはるかに大きな手数料の上昇を招いており、取引処理に対する大きな需要が存在していることを示す。

イーサリアムの沈静化

イーサリアムの沈静化
出典 : Coin Metrics

イーサリアムネットワークの平均取引手数料は10月、80%以上下落し、9月の急上昇を帳消しにするほどだ。マイナーの収益に占める手数料の割合も9月の75%という高い数字から、10月末には30%へと大幅に下落した。

どちらの指標もDeFi(分散型金融)ブームの沈静化に伴い、イーサリアムネットワークでのユーザーとDapp(分散型アプリ)の動きが減少していることを示している。COMPやSUSHIといったDeFi資産の華々しい登場によって限界に達していたネットワークにとっては前向きなサインとなる。

詳しい分析結果と他のチャートは、こちらから無料レポート(英文)をダウンロードできる。

翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸、佐藤茂
画像:Coin Metrics
原文:What October’s Metrics Tell Us About BTC, ETH and Volatility