アメリカ政府は、押収した総額10億ドル(約1040億円)超のビットコインの没収を求め、裁判所に書類を提出した。米司法省が11月5日、明らかにした。
3日に押収されたビットコインは、かつて存在した闇サイト「シルクロード(Silk Road)」に関連するもので、アメリカ史上過去最大規模のものと司法省は発表した。
提出された書類によると、押収された資産には、6万9370超のビットコインと、ほぼ同数のビットコインからフォークした暗号資産、ビットコインキャッシュ(BCH)、ビットコインゴールド(BTG)、ビットコインサトシビジョン(BSV)が含まれているという。
匿名のハッカーがシルクロードからこれらのコインを盗み、ウォレットに移動。2013年4月から押収されるまでの間、ウォレットに保管されていたと検察は述べた。
ハッカーは、3日の政府による押収に同意した。
ビットコインの出どころは?
数日前にはブロックチェーン監視企業のエリプティック(Elliptic)が、シルクロードとの関連が疑われるウォレットがおよそ10億ドル相当のビットコインを移動させたと報告している。
エリプティックによると、この移動は2015年以来だという。このウォレットは現在、閉鎖されているが、かつてはマネーロンダリングに使われていたとされる暗号資産取引所「BTC-e」に101ビットコインを移動させた。BTC-eの運営者アレクサンダー・ヴィニック(Alexander Vinnik)は2017年以降、ヨーロッパで拘留されている。
エリプティックの共同創業者トム・ロビンソン(Tom Robinson)氏は、ビットコインの移動は服役中のシルクロードの元運営者ロス・ウルブリヒト(Ross Ulbricht)、あるいはシルクロードの業者によるものではないかと考えている。
ドレッド・パイレート・ロバーツ(Dread Pirate Roberts)の偽名で活動していたウルブリヒトは、2011年からシルクロードを運営、2013年に逮捕され、現在は終身刑に服している。
これらのビットコインは長年ウォレットに保管され、取引には使えない状態であったため、今回の押収がビットコインの最近の上昇の要因となった可能性は低いだろう。逆に政府が通常どおり競売を行った場合は、再び流通する可能性がある。
翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸、佐藤茂
画像:米司法省(Shutterstock)
原文:US Seized More Than $1B in Silk Road–Linked Bitcoins, Seeks Forfeiture