米ドルに連動するステーブルコイン「ダイ(DAI)」の時価総額が11月11日、10億ドル(約1050億円)を突破した。CoinGeckoのデータでわかった。
「10億ダイの流通は、大きなマイルストーンだ。世界中の人は、より広いアクセス、より一層の透明性、より多くの機会を求め、自らの経済的可能性を最大化しようとしている」とメーカーダオ(MakerDAO)の創業者、ルーン・クリステンセン(Rune Christensen)氏はCoinDeskの取材で述べた。
メーカーダオ財団(MakerDAO Foundation)によると、供給量は同日に一時3000万ドル(約32億円)増加した。
金融ツールのパイオニア
ダイは、イーサリアム(ETH)をメーカープロトコル(Maker Protocol)に預け入れることで発行される。1ダイは1ドルになるよう設定されているが、そのレートは時に変更する。
メーカーダオ・システムに関するすべての関連データは、データサイトのDai Statsで確認でき、本記事執筆時点で、供給量は約9億9300万ダイとなっている(時価総額が10億ドルということは、1ダイが1.01ドルになっており、1ドルをわずかに上回っていることを示している)。
「ダイはプロトコルで作られる金融ツールのパイオニアであり、10億ダイに達したことは、ダイが機能していること、定着していること、そしイーサリアムの強力なパートナーとなっていることを証明している」とDeFiプロダクトのコンパウンド(Compound)の創業者、ロバート・レシュナー(Robert Leshner)氏はコメント。
注目すべきは、DeFi市場全体の預け入れ総額(TVL:Total Value Locked)が初めて10億ドルを突破したのは、1年前にも満たない今年2月だったことだ。
コンパウンドでは今、供給量以上の16億ドル(約1700億円)のダイが預け入れられている。これはユーザーが預け入れと借入を担保率が許す限り、何度も繰り返すためだ。
2番目の規模を持つDeFiプロジェクト
世界中で使われているほとんどのダイはERC-20トークン(イーサリアム規格に準拠したトークン)だが、すべてではない。
メーカー財団の開発者、ニクラス・クンケル(Niklas Kunkel)氏によると、ダイはユーザーがメーカーダオから引き出すまではERC-20トークンにはなっていない。将来、より優れたトークン規格が登場した時には、ERC-20とは違う規格を採用することもできるという。
「メーカーシステムでは、ダイはERC-20トークンではない。ダイはダイ 」とクンケル氏は述べた。
現状、リターンが0%にもかかわらず、供給量の約3分の1はDAI Savings Rate(DSR)に預け入れられている。6億2000万以上の大部分のダイは、現在、ERC-20トークンになっており、イーサスキャン(Etherscan)で見ることができる。
DeFiパルス(DeFi Pulse)によると、メーカーは現在、23億ドル(約2400億円)の資産を保有しており、イーサリアムブロックチェーン上ではユニスワップ(Uniswap)に次ぐ、2番目の規模を持つDeFiプロジェクトになっている。
「メーカーダオは、人々がグローバル金融システムに参加するためのより優れた、偏りが少なく、透明性の高い方法を見つけることをサポートするために作られた」とクリステンセン氏は語った。
翻訳:新井朝子
編集:増田隆幸、佐藤茂
画像:メーカーダオの創業者、ルーン・クリステンセン氏
原文:MakerDAO’s DAI Stablecoin Breaks $1B Market Cap