マイナス利回り債券の供給量が過去最高となり、ビットコインの長期的強気トレンドはさらに強まっただろうか。
ブルームバーグ(Bloomberg)とバークレイズ(Barclays)が配信する世界マイナス利回り債券指数(Global Negative-Yielding Debt Index)によると、マイナス利回り債券の残高は、2019年に記録した17兆400億ドルを超え、過去最高の17兆500億ドル(約1780兆円)となった。過去8カ月で2倍以上増加した。
マイナス利回り債券は、満期時に得るお金が当初の購入価格よりも少なくなる。残高の急増は、FRB(米連邦準備制度理事会)や他の主要中央銀行による、新型コロナウイルス感染拡大の経済への影響を抑えるための大規模な債券購入の結果だ。
ビットコイン価格への影響
マイナス利回り債券の増加は、投資家や企業がビットコインのようなインフレ耐性のある資産に資金を注ぐ動機となると言われている。マイナス利回り債券は損失を生むばかりか、中央銀行による大規模な流動性の注入がインフレを加速すると予想されているなか、満期日に受け取るお金は実質ベースで購入時よりもかなり少なくなる可能性がある。
「国際経済において進行中の問題に取り組むために中央銀行が紙幣を増刷し、債券の利回りを下げるほど、ビットコインについての経済的意味はますます魅力的なものになる」と、LMAXデジタル(LMAX Digital)のストラテジスト、ジョエル・クルーガー(Joel Kruger)氏はCoinDeskの取材で答えた。
その誕生以来、ビットコインは「デジタルゴールド」と呼ばれてきた。ゴールドと同じように耐久性があり、交換、分割、識別が可能で、希少だからだ。
複数の上場企業や大物投資家が今年、分散化の目的でビットコインに投資し、準備資産、インフレに対するリスクヘッジとしてのビットコインの魅力を証明している。
中央銀行の債券購入は継続
「このトレンドは続くかもしれない」シンガポールに拠点を置くシグナム・キャピタル(Signum Capital)のマネージングパートナー、ジョン・ング・パンギリナン(John Ng Pangilinan)氏は、利回りを求める投資家はビットコインに資金を投入すると予想している。
「当方では、ビットコインを貸し出すことで利回りを得ようとする投資家が増加している」
ビットコイン保有者はさまざまな取引所でビットコインを貸し出し、データサイトのDeFi Rateによると、最大で6%と、国債よりも大幅に高い利回りを得ることができる。
今後、マイナス利回り債券の残高は増加していく。世界中の多くの地域で新型コロナウイルス感染者が再び増加しているなか、中央銀行が債券購入の規模を縮小したり、停止する余地はほとんどない。
「中央銀行からさらなる資金が注入されることを見込んでおくように。市場は手厚くサポートされ、ゴールドとビットコインは恩恵を受け続ける」とマクロ投資家のダン・タピエロ(Dan Tapiero)氏は11月16日早朝にツイートした。
ビットコインは第4四半期に現時点までで51%上昇し、年初からは120%以上上昇している。一部のアナリストは、ビットコインは保ち合い状態になった後、年末までに過去最高値に挑戦すると予想している。
翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸、佐藤茂
画像:Shutterstock
原文:Record Levels of Negative-Yielding Debt Strengthen Case for Bitcoin: Analysts