2018年の仮想通貨市場の低迷で、新規コイン公開(ICO)サービス関連の企業は同年末に従業員の大半を解雇せざるを得なかった。
アンビセーフ(Ambisafe)もそのうちの1つ。2015年に創業した同社は、ホワイトラベルのウォレットやトークンセールプラットフォームなどを代表に、さまざまなバックエンドソリューションをブロックチェーン領域の企業に提供しているほか、取引所サービス、スマートコントラクト監査、モジュールソフトウェア開発なども手掛けている。
「我々は自身をブロックチェーンベースの金融市場にインフラを提供する存在と考えています」と同社CEOのアンドリ・ザモフスキー(Andrii Zamovsky)氏はCoinDeskに語った。
しかし、同社は2018年11月から12月にかけて、業務を大幅に縮小し、従業員数は120人から50人に減少した。
同社のサンフランシスコ本社では、フルタイム従業員15人中10人が解雇され、ウクライナ支社では、委託労働者60人の契約が更新されなかった。
「我々の雇用のスピードが速すぎたのです」とザモフスキー氏は語る。「当時引き受けてしまったプロジェクトのいくつかは引き受けない方が良かったと思います」とも。
同氏によると、ICOブーム最盛期の同社の売上高は毎月50万ドル(約5590万円)に上った。しかし、米証券規制当局の措置によってICOの魅力が減った結果、事業は衰退した。
ザモフスキー氏によると、現在、同社の月間売上高は10万ドル近く。以前は、消費者向けのトークンセール関連のサービスに専念していたが、方向転換をして、今はセキュリティトークン関連のサービスに注力していると同氏はCoinDeskに語った。また同社は現在、アメリカで自社の取引所を運営するために規制当局に承認を申請している。
また、同氏は以下のように述べた。
「大きな教訓は、セキュリティトークン取引への移行が私たちの想定ほど早く起きなかったことです。セキュリティトークンこそが今後の主流であることを誰もが理解しているのにもかかわらず、あまり動きがありません」
CoinDeskは、アンビセーフの元従業員何名かにコメントを求めたが、コメントを拒否されたか、返答が得られなかった。契約が更新されなかったため同社を去った元委託労働者の1人は、不満を言う理由はないとCoinDeskに語った。別の元委託労働者は、秘密保持契約を理由にコメントを拒否した。
解雇手当は従業員それぞれと個別に話し合って取り決めたとザモフスキー氏はCoinDeskに語っている。
ホショー(Hosho)、ブロックエックス(BlockEx)、ネビュラス(Nebulas)などのICOに密接に関わる企業でも、人員削減が行われた。
翻訳:Yuta Machida
編集:佐藤茂、浦上早苗
写真:Watch gears image via Shutterstock
原文:As ICO Business Dried up, This Firm’s Headcount Fell From 120 to 50