オンラインカンファレンス「FINTECH JAPAN2020」(一般社団法人Fintech協会主催)の2日目にあたる11月18日、フィンテックスタートアップによるピッチ大会が行われ、6社がプレゼンを行った結果、Crezit株式会社が優勝した。準優勝は株式会社400F、審査員特別賞に株式会社MFSが選ばれた。Crezit代表の矢部寿明氏は「ビギナーズラック。会社も起業家として(の自分)も若いので、これからもがんばりたい」と話した。
ピッチ大会(ピッチバトル)にはほかに、ガレージバンク株式会社、株式会社キュリア、株式会社Handiiも参加、計6社が競った。
優勝したCrezitは、低金利・少額の融資をスマホで簡単に受けられるサービス。講評で審査員は、資金調達したい企業・法人向けに与信やレンディングを事業として提供するスタートアップは存在しているものの、実際どうやるのかを明確に打ち出しているところはなかったとした上で、同社は「解決できる課題・ソリューションが明確」と高い評価のコメントを述べた。
急きょ設けられた審査員特別賞にMFSが選ばれたことについて、審査員は、ビジネスモデルが明快で、解決したい課題がクリア。不動産テックはこれからさらに広がる可能性を秘めているといった評価を述べた。
2日目は平井大臣のビデオメッセージで開幕
「新しい日常のフィンテック–New Fintech in New Normal–」とのテーマを掲げてオンラインで行われたFINTECH JAPAN2020。2日目は平井デジタル改革担当大臣のビデオメッセージで開幕した。
平井大臣はデジタル庁の設立にあたって意識したスピード感や「Government as a Startup」の理念、これらを実現するためにアジャイル的なやり方をするといった考え方を披露、サプライサイドではなく、デマンドサイドに立つことの必要性を強調した。
この日はほかに、パネルディスカッション「新仲介・新決済法で変わる アフターコロナの個人向けサービス」「中小企業と地方の課題へのソリューション」などが行われた。
DeFi(分散型金融)に関するパネルディスカッションも開催
最近注目が高まっているDeFi(分散型金融)に関するパネルディスカッション「DEFI IN NEW NORMAL」も開催された。モデレーターを、協会理事で渥美坂井法律事務所・外国法共同事業 パートナー弁護士の落合孝文氏が務めた。
まずauフィナンシャルホールディングスの藤井達人氏がDeFiに関する基本的な情報や状況を整理、規制の観点からみたDeFiの特徴などを紹介した。bitFlyer Blockchainの金光碧氏はDeFiへの注目の高まりがもたらした取引所への影響に触れた上で、分散型のレンディング・プロトコルであるコンパウンドのケースを解説した。
あずさ監査法人の保木健次氏は「DeFiが置き換える銀行機能の拡大」と題して、これまで銀行が果たしてきた役割をDeFiがどう置換するのかなどについて話した。ブロックチェーンハブの増田剛氏はセキュリティトークンに関して解説した後、DeFiとセキュリティトークンの連携などについて説明した。
藤井氏はまた、自動マーケットメーカー(AMM=Automated Market Maker)により流動性がもたらされ、アービトラージなどのチャンスが生まれていると紹介、これがイーサリアムをはじめとした暗号資産価格が高騰している一因との分析を述べた。
さらに、最近のDeFiへの注目の高まり、価格の高騰といった流れを受け、「バブルかどうか」という命題を論点として持つべきとした上で、「DeFiは一過性のブームで終わるものではない」との認識を示唆。これを裏付ける事例として、インターネットが黎明期にここまで広がることを予想した人は少なかったはずと述べた。DeFiについても、「プロトコルとスマートコントラクトで様々な金融取引を再現できる。時間はかかるかもしれないが、徐々に(金融が非中央集権型に)移行するのではないか」などと話した。
3日目・11月19日はeKYCのセッションなどが予定
CoinDesk Japanがメディアパートナーを務めるFINTECH JAPAN2020は、11月19日も行われる。
同日は「インフラストラクチャ(EKYCと情報銀行)の最前線」(マネーツリー・マーク・マクダッド氏、マネーフォワード取締役Fintech研究所長・瀧俊雄氏ら登壇)、「アフターコロナに求められる顧客体験価値を高めるデジタル化」(Fintech協会代表理事会長・沖田 貴史氏ら登壇)などが行われる。
チケット料金(税込み)はフィンテック協会の会員1,000円、非会員3,000円、学生は無料。詳細は公式サイトで確認できる。
文・編集:濱田 優
画像:FINTECH JAPAN2020