ベトナム、卒業証明はブロックチェーンで──トモチェーンと連携

ベトナム教育訓練省は、シンガポールに拠点を置くスマートコントラクト・プラットフォームのトモチェーン(TomoChain)と共同で、ブロックチェーンに学生の卒業証明を記録する取り組みを始める。

トモチェーンは18日、同省と契約を締結したことを発表。計画では、透明で変更不可能な記録を作成するため、高等学校以上の学生のすべての学習資格をパブリックブロックチェーンのトモチェーンにアップロードしていく。

学習資格は現在、各教育機関が管理しており、採用や人事での確認プロセスには一定の時間がかかる。

ベトナム最大のブロックチェーン事例

記録とIDの確認は、行政が活用できるブロックチェーン技術の適用分野の1つ。アメリカでは今年、議員らがトランプ政権に対してブロックチェーンを使ったヘルスケアサービスの向上と、個人IDの確認作業の迅速化を検討するよう求めた。

​「卒業証明と履修証明の管理は、技術によって解決されるべき問題。社会全体にとって重要であり、特に卒業証明の管理システムと教育全般にとって費用対効果も高い」とベトナム教育訓練省のグエン・バン・フック(Nguyen Van Phuc)副大臣は声明で述べた。

発表によると、この取り組みはベトナムにおけるブロックチェーン技術の最大の活用事例であり、国家レベルで採用されたパブリックブロックチェーンの最初のケースだという。

MITもブロックチェーンで卒業証明

多くの国や教育機関が、学生の学習資格を記録するためにブロックチェーンを使ったシステムを検討している。

2017年、マルタの教育省は、ブロックチェーンに学生の成績証明などを記録するため、ブロックチェーンのスタートアップ企業と契約を結んだ。同年、マサチューセッツ工科大学(MIT)は、パイロットプログラムの一環として、ブロックチェーンを使って100の卒業証明を発行した。

トモチェーンはシンガポールに本社を置き、ベトナムと日本にオフィスを構える。同社は分散型取引所のTomoDEXを運営している。トモチェーンは9月、削除可能なデータ機能を備えたブロックチェーン・ソリューションを提供するドイツのLitionを買収した。

​試験運用後、ベトナム教育訓練省の管轄下にある教育機関から授与される最大150万の卒業証明がシステムに登録される予定。​2020〜2021学年度中には稼働を始める方針だ。

翻訳:新井朝子
編集:増田隆幸、佐藤茂
写真:ベトナム・ホー・チ・ミン市(Shutterstock)
原文:Vietnam’s Ministry of Education Adopts Blockchain Record-Keeping