オーストラリアとシンガポールが貿易書類のやりとりをブロックチェーンを使って簡素化する取り組みを進める。
オーストラリア国境警備局(ABF)は11月25日、両国がこの試みをデジタル経済協定(DEA)のもとで行うと発表。シンガポール税関とシンガポール情報通信メディア開発庁(IMDA)もこの試験運用に参画する。
計画では、原産地証明を目的とした電子文書共有のためのデジタル認証プラットフォームの試験運用を行う。認証プラットフォームは、オーストラリアのABFの政府間台帳と、シンガポールのIMDAのトレードトラスト(TradeTrust)プラットフォームの双方にまたがっている。
「貿易のシングル・ウィンドウ化構想の将来的な構造と設計の一部として、ペーパーレス貿易と貿易情報の安全なデジタル交換を今回の取り組みに組み込んでいく」とABFのマイケル・アウトラム(Michael Outram)局長は述べた。
オーストラリア商工会議所やオーストラリア産業グループ、オーストラリア・ニュージーランド銀行、シンガポールの金融機関などの参加企業と規制当局は、今回のテストの過程で得られた教訓をフィードバックしていく。
産業・科学・エネルギー資源省が主導するナショナル・ブロックチェーン・ロードマップ(National Blockchain Roadmap)のもと、ABFはテストから得たフィードバックをまとめ、2021年はじめ頃にレポートを発表する予定だ。
オーストラリアとシンガポールは8月、デジタル経済協定(DEA)を締結。デジタル貿易推進に向けた障壁を減らすための枠組みづくりと、企業と消費者がデジタル化の恩恵を受けられるような環境づくりを目指している。
翻訳:石田麻衣子
編集:増田隆幸、佐藤茂
写真:Australian National Audit Office
原文:Australia and Singapore to Trial ‘Paperless’ Trade Using Blockchain Technology