ビットコイン、最高値を更新、3年ぶり

ビットコインの価格が11月30日(米東部時間)に上昇し、最高値を更新した。CoinDeskのビットコイン・プライス・インデックス(BPI)によると、これまでの最高値は2017年12月に記録した19783ドルだったが、同日19786.24ドルに達した。

長期にわたりビットコインを保有してきた投資家は過去3年間、相場の下方トレンドを幾度も経験してきた。一方、新たに参入した投資家にとっては、暗号資産への投資を正当化できる記録更新となった。

ブルームバーグの株式アナリストを務めた後にデルフィデジタル(Delphi Digital)を共同創業したケビン・ケリー氏は、ドルベースで史上最高値を記録した事実を軽視することはできないと述べた上で、「(ビットコインにとっては)好材料となるマクロ経済状況にもかかわらず、なかなか最高値に達することができず、多くがその可能性を疑問視してきた。これでビットコインの強い力がある程度、証明されたのではないだろうか」とコメントした。

インフレヘッジにデジタル資産

ビットコイン価格を押し上げるマクロ経済の要因には、世界的に続く中央銀行の金融緩和政策があげられてきた。新型コロナウイルスのパンデミックで失速した経済状況を背景に、インフレヘッジとしてのデジタル資産に資金をシフトさせる投資家が目立つようになってきた。

ビットコインは年初から167%、値を上げた。感染が世界的に拡大した3月には、わずか1日で価格が半分に下落したが、以来、上昇トレンドのモメンタムは強まり続けた。

暗号資産のアナリストらは、機関投資家と個人投資家の資金がビットコイン市場へと流れ込む中、現在の上昇トレンドは「ヘルシー」な状況だと説明する。米決済サービス大手のスクエアやペイパルは引き続き、個人投資家の資金をビットコインへと流入させるチャネルの役割を果たすことになるだろう。

スクエア、ペイパルの存在

スマートフォンウォレットの「キャッシュアップ(CashApp」アプリを運営するスクエアは第3四半期、ビットコイン関連の売上収益としては過去最高の10億ドルを計上した。一方、ペイパルは10月に暗号資産サービスの計画を発表したが、予想を超える強い需要に対応するため当初の予定よりも早く同サービスのローンチを決定した。

機関投資家からのビットコインに対する需要も強い。シカゴ取引所(CME)におけるビットコイン先物市場は記録的な成長を遂げている。

「投資家はビットコインのさらなるアップサイドを期待しているが、上昇トレンドの継続は今後、より広い投資家ベースの動きが影響することになる。ビットコイン市場は、多くの新規参入者が存在するマーケットに変わった」とケリー氏は述べた。

翻訳抜粋:CoinDesk Japan編集部
編集:佐藤茂
写真:Shutterstock