約6310億ドル(約66兆円)の資産を運用する米アライアンス・バーンスタイン(AllianceBernstein)のリサーチ部門が、ビットコインに対するこれまでの考えを大きく変える内容のリサーチノートをまとめた。
バーンスタイン・リサーチのポートフォリオ戦略チームの共同責任者、イニゴ・フレイザー・ジェンキンス(Inigo Fraser Jenkins)氏は、直近の顧客向けレポートの中で、同社はビットコインが2万ドルに迫る水準に達した直後の2018年1月に、同暗号資産を投資対象から除外した事実を明らかにした。
同氏は、2020年における新型コロナウイルス感染拡大後の政策環境の変化や、負債の水準、分散化した投資の選択肢などを指摘した上で、同社が長期的な資産配分において「ビットコインには一定の役割があることを認める必要がある」と、同レポートに記した。
ビットコインとゴールド
ビットコインが、その価格変動率(ボラティリティ)が大幅に低下したことで、価値の保存と交換の手段としても、より魅力的になったと、フレイザー・ジェンキンス氏は述べる。
また同氏は、新型コロナウイルスのパンデミックにより、ビットコインと他の資産クラスとの相関関係も高くなっているが、ビットコインの流動性を考慮すると、3月の暴落の時に見られたように売却される可能性もあると加えた。
「限られた経験則から見れば、ビットコインのボラティリティの低下はビットコインをより望ましい状態にしている。しかし、相関関係の上昇は逆の方向を指している」とフレイザー・ジェンスキン氏。
インフレに対するリスクヘッジの役割については、たとえビットコインが「特定の法定通貨のインフレを打ち消すような方向に正確に動く」とは限らなくても、「ビットコインを牽引するものは、ゴールドと同じ」と述べている。
さらに、ビットコインが犯罪に用いられる事実や、電力を大量消費するビットコインのマイニング、各国で進められる規制の強化などをあげ、ビットコインに対する懸念を示した。
資産ポートフォリオの1.5%〜10%
新型コロナウイルスの影響により、政府が経済面におけるより強い役割を持つ可能性が高い。仮に暗号通貨が現在よりもはるかに巨大なものになれば、「政策立案者にとっては頭痛の種」になる可能性があると、同氏は言う。
「暗号資産が合法的なものである限り、アセットアロケーションにおいては重要だろう」
最終的に、バーンスタイン・リサーチは同レポートの中で、顧客がポートフォリオの1.5%〜10%をビットコインで保有することは可能としているが、同暗号資産の月次リターンに依存するところが大きいと説明した。
「結果的に、ビットコインへの配分は小さくなるが、極めて単純な最適化の枠組みの中では、ビットコインは経験的にきわめて潜在的な可能性を秘めているようだ」とフレイザー・ジェンキンス氏は述べた。
翻訳:CoinDesk Japan編集部
編集:増田隆幸、佐藤茂
画像:Shutterstock
原文:Investment Giant AllianceBernstein Now Says Bitcoin Has Role in Investors’ Portfolios