ペイパルCEO:暗号資産は「今こそチャンスだ」

米決済大手ペイパル(Paypal)のダン・シュルマン(Dan Schulman)CEOは12月2日、約10万人が参加したオンラインイベントに登壇し、暗号資産(仮想通貨)は「今こそチャンス」と述べた。

シュルマン氏は、デジタル通貨は近い将来、日常的な支払いツールになると予想。世界的な新型コロナウイルス感染拡大は、さまざまなトレンドを加速させたが、その1つは消費者が「現金を使わなくなっていること」と述べた。

「より速く、より安価で、より効率的な新しく近代的なテクノロジーを使った金融システムを作ることができれば、多くの人がシステムに参加することができる。インクルージョン(金融包摂)のために、コストを削減し、多くの人にとっての金融の健全性を向上させることができるだろう。(中略)長期的に考えれば、私はあらゆる種類のデジタル通貨に対して、非常に強気だ」

54%が暗号資産の提供を望む

ペイパルは10月、2800万の加盟店で暗号資産を決済手段として使えるサービスを2021年はじめに開始すると発表した。アメリカ国内ではすでに、ペイパル・ウォレットを利用して暗号資産を取引・保有することができる。

シュルマン氏は、同社が事前に行った市場調査では、ペイパルの既存ユーザーの54%が暗号資産の提供を望んでいたと述べた。

「デジタル・ウォレットは当然、デジタル通貨を補完するものとなるだろう。我々は3億6000万以上のデジタル・ウォレットを保有しており、暗号資産に対応する必要がある」

シュルマン氏は以前、ビットコインのボラティリティ(価格変動)は最大の懸念で、ビットコインは小規模な加盟店の利益を一掃する可能性がある「粗悪な通貨」との考えを述べてきた。ペイパルはこの課題に取り組むため、消費者が商品の購入時点に暗号資産の正確な価格(交換レート)を把握できる仕組みを作り、ボラティリティに対するリスクを軽減していくという。

「暗号資産の実用性を強化し、価格変動をもとにした取引だけでなく、より多くのことができるようにしていきたい。実際、2800万の加盟店で決済手段として利用できるようになる」

オンラインイベントには、シュルマン氏のほか、欧州委員会のウルスラ・フォン・デア・ライエン(Ursula von der Leyen)委員長、フェイスブックの最高技術責任者(CTO)のマイク・シュレーファー(Mike Schroepfer)氏、NBAダラス・マーベリックスのオーナーであるマーク・キューバン(Mark Cuban)氏が登壇した。

翻訳:CoinDesk Japan編集部
編集:増田隆幸、佐藤茂
画像:Shutterstock
原文:PayPal CEO Dan Schulman Tells Web Summit the ‘Time Is Now’ for Crypto