米S&P、暗号資産インデックスを開始──ブルームバーグ、ナスダックとの競争激化

金融データサービスの米S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス(S&P DJI:S&P Dow Jones Indices)は12月3日、暗号資産データのルッカ(Lukka)と共同でカスタマイズ可能な暗号資産(仮想通貨)インデックスを来年からスタートさせる。

機関投資家からの暗号資産に対する需要が強まるなか、価格インデックスのニーズは高まっている。

「デジタル資産分野を注視しており、機関投資家の関心が成熟したと感じている。我々のような企業がデジタル資産市場に参入し、市場の透明性を高めていきたいと考えている」と同社イノベーション&ストラテジーのグローバル責任者、ピーター・ロフマン(Peter Roffman)氏は述べた。

ブルームバーグ、ナスダックとの競争

ウォール街には、すでに複数の暗号資産インデックスが存在していた。ブルームバーグ・ギャラクシー・クリプト・インデックス(Bloomberg Galaxy Crypto Index)は2018年以来、流動性の高い暗号資産の価格情報を提供している。ナスダック(Nasdaq)は、過去数年で複数の暗号資産インデックスを上場してきた。

ロフマン氏は、新たなインデックスが既存の競合会社とどう差別化を図っていくのかについては言及しなかった。同氏は、パートナー企業の「機関投資家レベルのクオリティ」が組み合わさって、「市場をリードするサービス」になると述べた。

「暗号資産の価格設定、暗号資産の選択、重み付け、そして、我々がそれらに付随して市場にもたらす全ての透明性の観点において、ベストプラクティスを採用していく」(ロフマン氏)

ルッカのロバート・マテラッツィ(Robert Materazzi)CEOは、同社の「ルッカ・プライム(Lukka Prime)」の価格設定手法は「S&Pとの提携に含まれる」とコメント。

S&Pダウ・ジョーンズのインデックスについては3日、ロイターが先に報じた。

S&Pのブロックチェーン・仮想通貨戦略

また、S&Pダウ・ジョーンズの親会社、S&Pグローバル(S&P Global)は過去数カ月、ブロックチェーン・エンジニアの採用を強化している。

S&Pの事業拡大を巡っては、ライバル企業のIHS マークイット(IHS Markit)を440億ドルで買収する計画が報じられたばかりだ。規制当局がこの大型買収を認めれば、S&Pのウォール街での地位は疑いの余地がないものになる。

IHSマークイットの買収は、ルッカとIHS マークイットとの提携にも関係してくる。11月中旬、ルッカはIHSを通じてウォール街に暗号資産データを提供することに合意している。両社の幹部はその際、提携の全容を明らかにしなかった。

S&P DJIの広報担当者、レイモンド・マッコンビル(Raymond McConville)氏は、IHS マークイットの買収についてのコメントを控えた。

翻訳:CoinDesk Japan編集部
編集:増田隆幸、佐藤茂
画像:Shutterstock
原文:S&P Dow Jones Indices to Launch Crypto Indexes in 2021