昨年まで多くの投資家にとって初めて投資する暗号資産(仮想通貨)はビットコインだった。しかし、ビットコインよりむしろイーサリアムに関心を寄せる投資家が増えてきているという。
「2020年、イーサリアムを優先し、時にはイーサリアムだけに投資する新しい投資家が目立つようになってきた。資産クラスとしてのイーサリアムに対する信用が高まりつつある」と、グレイスケール・インベストメンツ(Grayscale Investments)のマネージング・ディレクター、マイケル・ソンネンシャイン(Michael Sonnenshein)氏は、ブルームバーグのインタビューで語った。
イーサリアムブロックチェーンで展開されるDeFi(分散型金融)サービスが今年中旬に、イーサリアムの価格を大幅に押し上げ、イーサリアムブロックチェーンは12月、ビーコンチェーンの運用を開始して、イーサリアム2.0への大きな一歩を踏み出した。
「イーサリアムは確実に発展を遂げている。ビットコインと同じような耐久力を持っている」(ソンネンシャイン氏)
イーサリアムはビットコインのライバルか
暗号資産のイーサリアムが資産クラスとして、ビットコインの強力なライバルになることができるのかについては幅広い意見がある。
「機関投資家は、ビットコインをデジタルゴールドのストーリーに基づいて購入している。イーサリアムはまだ、その議論に及んでいない」とメッサーリ(Messari)のライアン・ワトキンス(Ryan Watkins)氏は述べてきた。
イーサリアムは「経済刺激策のメリットを受け、暗号資産ネイティブでさらに話題となる可能性が高い」と語るのは、デリバティブ取引所アルファ5(Alpha 5)の創業者、ヴィシャル・シャー(Vishal Shah)氏。
「初心者にとっては、投資先がビットコインだけではないことを理解するのは依然、難しいだろう」
イーサリアムが資産クラスとして、今よりも投資家の注目を集めるようになるとすれば、それはきわめて別の理由からだ。イーサリアムは、分散型アプリケーションのための包括的なエコシステムを提供する「ワールド・コンピューター」になろうとしている。一方、ビットコインは新興の資産クラスとして取り扱われてきた。
「デジタル資産分野はビットコインだけでなく、きわめて巨大なものと常に考えてきた。さまざまな暗号資産に、さまざまな用途が存在するからだ。ビットコインとイーサリアムには、アセットアロケーションにおける最適な組み合わせがあると思う」と、金融メディアグループ、リアル・ビジョン(Real Vision)の共同創業者兼CEOのラウル・パル(Raoul Pal)氏は述べている。
翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸、佐藤茂
画像:Louis Reed(Unsplash)
原文:Grayscale Sees a New Group of Ethereum-First Investors