ビットコインオプション市場が短期的に弱気に転じた。現物のスポット市場で見られる売り攻勢に対するヘッジ需要が高まった。
CoinDesk 20のデータによると、ビットコインは12月9日、1万7640ドルまで下落。その後、やや反発して1万8300ドル付近で取引を終えた。
価格が24時間で1000ドル下落したことで、短期的な売り攻勢の強まりに対する懸念が生じている。これは、プット・オプションへの需要が増加していることからも明らかだ。1週間プット・コール・スキューはプラスに転じている。
データサイトのスキュー(Skew)によると、ビットコインの1週間プット・コール・スキューは、24時間でマイナス0.20%から15%まで上昇。取引の大半は、1万7000ドルのプットに集中している。
リスクヘッジ需要を反映して、1カ月プット・コール・スキューもマイナス21%からマイナス7%に上昇。プット・コール・スキューは、ある期日に満期を迎えるプット・オプション(売る権利)の、コール・オプション(買う権利)に対するコストを測定したもの。
「9日午前0時(協定世界時=UTC)以来、500万ドル(約5億2000万円)以上の想定元本となる、300件以上の1万7000ドルのプットが取引されている」と話すのはデリビットのショーン・フェルナンド(Shaun Fernando)氏。デリビットは、取引高、建玉(未決済の契約総数)の双方で最大の暗号資産オプション取引所。
スタック・ファンド(Stack Funds)のマシュー・ディッブ(Matthew Dibb)CEOによると、1万5000ドルと1万6000ドルのプット・オプションもこの1週間で購入が増えている。「投資家は年内までの動きをリスクヘッジしているようだ」と述べる。
ただし、3カ月、6カ月スキューのマイナス幅は依然大きく、長期的には強気の見通しを示している。
高値からわずか9%の下落
テクニカルチャートも、1万9920ドルの史上最高値からの下方調整が長引く余地があることを示している。
ピア・ツー・ピア・マーケットプレイス、パクスフル(Paxful)のレイ・ユーセフ(Ray Youssef)CEOによると、1万8500ドルは重要なサポートレベルであり、そこを割ったことは1万7300ドルへのさらなる下落の可能性を示したという。
ビットコインが1万8500ドルを割ったことで、日足チャートのトライアングル・パターン(三角持ち合い)は下にブレイクした。14日RSI(相対力指数)は、50以下の弱気エリアに入ろうとしている。
だが下落幅は1万6000ドルに限られるかもしれない。これは、12月1日に史上最高値の1万9920ドルに達する前、11月27日頃に試されたレベルだ。
「我々は、1万6000ドル付近を維持すべき強力な支持線があると確信している。もしそうであれば、強気の上昇トレンドを維持することになる」とディッブ氏は述べた。
ビットコインはこれまでの強気相場で20%以上の下落を繰り返してきた。当記事執筆時点の1万8200ドルは、直近の高値1万9920ドルからわずか9%下落しただけだ。
市場アナリストのジョセフ・ヤング(Joseph Young)氏によると、現在の強気相場は3年前とは異なるという。ビットコインの保ち合いが長引き、相応の引き戻しも予想されるが「長期的には、ビットコインはより健全な相場を形成するだろう」と同氏はツイートした。
マイクロストラテジーへの懸念
とはいえ、多額の内部留保をビットコインに換えている米ナスダック上場企業、マイクロストラテジー(MicroStrategy)の財務状態についてのネガティブなニュースが報じられれば、市場は動揺する可能性がある。
ビットコインの24時間での下落は、マイクロストラテジー株への評価を「中立(neutral)」から「売り(sell)」に引き下げた米銀大手シティ(Citi)の決定と同じタイミングで起きた。アナリストは、同社マイケル・セイラー(Michael Saylor)CEOのビットコインに対する「アンバランスな注力」を同社にとってトラブルを生む可能性があるとしている。
「懸念は、マイクロストラテジーの最近のデジタル資産への取り組みが、同社のビットコイン大量購入などに対する規制当局の懸念を生み、また一部の株主がこの動きに不満を表明する可能性があることだろう」と、ロンドンを拠点とするプライム・ブローカー、ベクワント(Bequant)のデニス・ビノコウロフ(Denis Vinokourov)氏は言う。
「実際に同社の基本的なポジションがそれほどバラ色ではなく、財務状態に疑問が浮かべば、ビットコインは売却を余儀なくされる」と同氏は続けた。
翻訳:新井朝子
編集:増田隆幸、佐藤茂
画像:CoinDesk 20
原文:Bitcoin’s Options Market Skews Bearish as Spot Price Loses Ground