19歳のロスティスラフ・ソロド(Rostislav Solod)は、ウクライナ東部にあるクラマトルスク市の最年少市議会議員。そして暗号資産(仮想通貨)のミリオネアだ。
ソロドは、同国の2人の国会議員、ユリ・ソロド(Yuri Solod)とナタリア・コロレフスカ(Natalia Korolevska)の息子で、この秋、政界に進出した。義務づけらている財産申告でソロドは、18万5000モネロ(約26億円)を保有していることを明かした。
モネロはソロドが持つ唯一の財産で、不動産や車、商標などの申告に記載されている資産はすべて両親のものだ。
ビットコインよりモネロ
ソロドは在学中の2014年頃、暗号資産に注目し始めた。ビットコインには魅力を感じなかったが、モネロ(XMR)は匿名性とダークマーケットからの強い需要があり、大きな可能性を秘めた暗号資産だと感じた。
自らの貯金と、実現しなかったビジネスのために両親が与えてくれた資金を使って、2015年にモネロを取引所で購入した。以来、ソロドは、金融市場や暗号資産の研究に多くの時間を費やしたという。
ブロックチェーン分析企業のチェイナリシス(Chainalysis)は、ウクライナを暗号資産の普及レベルが世界で最も高い国に位置づけている。同国は現在、暗号資産を規制する初の法律を審議している。
「起業家であり若い世代の一人として、国の動きが正しいとは言えないと思う。私はかつて、暗号資産は邪悪な人たちが触れない海の孤島のようなものと考えていた。誰でも何でもできる完全な自由地帯と。しかし政治家としては、この法律は国の財政にお金をもたらすことを意味している」
いずれはトークン発行も
モネロのプライバシー機能はもはやソロドには適用されない。彼は政治家として、自らの財産をすべて申告しなければならない。今後、暗号資産を清算し、資金を新しいビジネスプロジェクトに投資するかもしれないと話す。
ソロドは、暗号資産マイニング(まだ、どの暗号資産かは決めていない)を開始し、アップル共同創業者のスティーブ・ウォズニアック氏がサポートする新プロジェクト「Efforce」のトークンを購入することを考えている。しかし、一番やりたいことは、自らのトークンを発行することだと語った。
「選挙や政治家としてのキャリアによって、しばらくの間、これらの計画に手がつけられなかった」
選挙や政治家としてのキャリアは学業の妨げにもなっている。現在、ロンドン大学ロイヤル・ホロウェイ校で経済を専攻しているソロドは言う。新型コロナウイルスのパンデミックのなか、リモートで勉強を続けているが、仕事と学業のための時間を見つけることはときに難しい。
政治家になろうと決めた理由を聞くとソロドは、家族について触れ、「政治家の家に生まれたから」と話す。
「この国がなぜ発展しないのかを突き止めることに興味があった。腐敗した状況を変えたいと心から願っている。腐敗を防ぐための古いやり方はもう機能していない」
(敬称略)
翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸、佐藤茂
画像:ロスティスラフ・ソロド(ロスティスラフ・ソロド)
原文:Meet the 19-Year-Old Ukrainian Lawmaker With Millions in Monero