モネロ、価格上昇つづく──ハッキング懸念の強まりが要因か

プライバシーを保護することをコンセプトに置いている暗号資産(仮想通貨)「モネロ(XMR)」の価格が、3月の急落以降、上昇を続けている。

CoinDesk 20によると、モネロの価格は12月15日、157.64ドル(約1万6300円)に達して、2018年6月以来の高値を記録した。年初からは300%近い上昇となった。

万一の身代金として準備か

モネロは、プライバシーを保護する、安全で追跡不可能な暗号資産として、2014年4月にスタートした。ユーザーは身元を曖昧にでき、指定先以外の第三者から送金された額を隠すこともできる。

一部のアナリストは、モネロに対する需要の高まりは、ハッカーに身代金を支払うためにモネロが必要になるという憶測が一つの要因として存在するだろうと述べる。

「一部の企業は、ポートフォリオを多様化するためにビットコインへの投資を始めている。ハッカーが支払い手段として指定することが多いために、モネロのような通貨を確保する企業もある」と、ロンドンのプライムブローカー、ブローカレッジ・ベクワント(Brokerage Bequant)のデニス・ビノコウロフ(Denis Vinokourov)氏は述べた。

同氏によると、多くの企業がハッキングに対する警戒を強めている中で、市場ではそれがモネロの価格の上昇圧力に繋がっていると話す。

取引所は取り扱いを中止

世界的には、顧客確認/アンチマネーロンダリング(KYC/AML)要件を遵守するため、暗号資産取引所はモネロをはじめとするプライバシーを重視した暗号資産の取り扱いを中止している。

一方、モネロの成長が続くことで、取り扱いを再検討する取引所が出てくるだろうという楽観的な見方が、一部のトレーダーから聞かれるようになったと、暗号資産マーケットメーカー、DVチェーン(DV chain)のコンプライアンスアナリスト、ジャスティン・エーレンホファー(Justin Ehrenhofer)氏は話す。

翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸、佐藤茂
画像:CoinDesk archives
原文:Monero Breaks 2-Year High Amid Rising Concerns Over Online Ransom