グローバルに暗号資産取引所の事業を展開するHuobi(フォビ)が、約1年ぶりにアメリカ市場に再参入する。
Huobiは22日、グループ子会社のHuobi Trust Companyが米ネバダ州金融当局から信託ライセンスを取得したと、香港証券取引所への開示文書で明らかにした。同子会社は2021年初めに米国市場でカストディ(保管)とコンプライアンスサービスを開始する。
Huobiグループのアメリカ法人、Huobi US(HBUS)は2019年12月、米国市場における「規制上の懸念」を理由に、事業運営を中止。事実上の撤退を余儀なくされた。以来、米国での事業再開に向けた方法を検討してきた。Huobiグループのグローバルヘッドを務めるCiara Sun氏は今年4月、仲介業者との提携を軸にした事業再開もオプションの一つだとコメントしている。
ネバダ州に拠点を置くHuobi Trustを率いていくのは、サイモン・コリアー(Simon Collier)氏で、香港のHSBCで7年以上、富裕層向けサービスのグローバルヘッドやプロジェクトディレクターを務めてきた。
グローバル展開する取引所に厳しい規制
Huobii Trustのコンプライアンスサービス事業を担当するのは、Aja Heise氏。Heise氏は、米国銀行秘密法やマネーロンダリング対策に関する規制に準じた事業の経験を持つ人物だという。
米司法省や証券取引委員会(SEC)は、アメリカで事業運営を行う海外の暗号資産取引所に対して、厳しい規制を設けている。特に法定通貨と暗号資産ペアの取引事業については、取引所を運営する海外企業がアメリカ州政府からライセンスを取得するのは難しい。
Huobi USはこれまでにアメリカの43州からライセンスを取得してきたが、その多くは暗号資産と暗号資産の取引事業に対するものだという(Huobi USのFAQページより)。
世界最大級の暗号資産取引所事業を展開するバイナンス(Binance)は過去に、米国向けのサービス運営の難しさを指摘してきた。バイナンスはカリフォルニア州の暗号資産サービス企業「BAM Trading Services」との提携を通じて、一部の米国事業を開始してきた。バイナンスは依然、ニューヨーク州やテキサス州、フロリダ州を含む13の州において、暗号資産の取引サービスを始めていない。
編集:佐藤茂
画像:ニューヨーク・マンハッタン(Shutterstock)
原文:Huobi Crypto Exchange Returning to US After Winning Nevada Trust License
(編集部より:Huobiの社名を訂正して、記事を更新しました)