米通貨監督庁は、連邦政府が認める銀行が決済などの銀行取引にステーブルコイン(法定通貨などに連動する暗号資産)を利用することは可能だとする内容の書簡をまとめた。
書簡は1月4日に公開されたもので、連邦政府が認める銀行と連邦貯蓄金融機関によるブロックチェーン(独立ノード検証ネットワーク=INVN)への参加と、ステーブルコインの利用に関する内容が記された。
通貨監督庁(OCC)は、ブロックチェーンに参加するすべての銀行は運営やコンプライアンス、詐欺などのリスクを認識しなければならない警告した上で、ブロックチェーンは取引の検証に多くのノードが必要であり、それによって改ざんが抑制されるために「他の決済ネットワークよりも回復力がある可能性がある」と指摘。
「この書簡は、ブロックチェーンがSWIFTやACH、FedWireのような他のグローバル金融ネットワークと同じステータスを持っていることを述べている」と、ブロックチェーンアソシエーション(Blockchain Association)のエグゼクティブディレクター、クリスティン・スミス(Kristin Smith)氏はツイートした。
ブルックス長官代理のスタンス
ブライアン・ブルックス(Brian Brooks)OCC長官代理は、他の国々がリアルタイム決済システムの構築を進める一方、アメリカはそうした技術の開発を民間セクターに「依存している」と述べる。暗号資産(仮想通貨)の利用、特にステーブルコインの利用を、他のリアルタイム決済システムに代わるものとして認めるようにもとれる。
ブルックス長官代理は任期中に、いくつかの書簡をまとめ、暗号資産に対して比較的に好意的な施策を取りまとめてきた。例えば、連邦政府が認可した銀行はステーブルコインの発行者に対してサービスを提供したり、ステーブルコインのための準備金を保管できるとした書簡を記してきた。
ブルックス長官代理は12月、ステーブルコインのアメリカ国内での規制概要をまとめ、大統領の金融市場作業部会による書簡への支持を表明した。
トランプ大統領は過去に2度、ブルックス長官代理をOCC長官(任期5年)として指名している。しかし、米上院が承認投票を行うかどうかは不透明だ。当記事執筆時点では、トランプ大統領の残りの任期中に承認投票が行われる可能性は低いようだ。
4日は、金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)が提案した規制に対するパブリックコメントの受付最終日でもあった。物議を呼んでいるこの規制のパブリックコメントの受付期間は、わずか15日。昨年5月にブルックス氏をOCCの長官代理に任命したスティーブン・ムニューシン(Steven Mnuchin)財務長官が、この規制立案の陣頭指揮を取ったと伝えられている。
「(4日に発表されたOCCの書簡は)暗号資産に対する全面的な攻撃はなく、暗号資産ネットワークは未来の決済システムや、他の金融サービスアプリケーションの基礎となると認識しているという明るい材料が政府内にあることを示している。我々はこうしたガイダンスを歓迎する」と、ブロックチェーンアソシエーションのスミス氏はコメントした。
書簡は以下。
OCC Letter on Banks Using S… by CoinDesk
翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸、佐藤茂
画像:ブライアン・ブルックスOCC長官代行(ティム・スコット上院議員事務所)
原文:US Federal Regulator Says Banks Can Conduct Payments Using Stablecoins