経済学者でカナダの元首相、スティーブン・ハーパー(Stephen Harper)氏は17日、オンラインイベントに登壇し、ビットコインが準備資産として使われる可能性はあるが、米ドルの国際的役割を奪うことはないと述べた。
「アメリカが壊滅的な状態にならない限り、世界の主要基軸通貨としての米ドルに代わるものを想像することは難しい。仮にあるとしても、ゴールド(金)、ビットコインなど、今あるもの以外のものだろう。人々が準備資産として使うものは増えるが、米ドルは依然としてその大部分を占めるだろう」(ハーパー氏)
デジタル通貨については専門家ではないと強調しながら、ハーパー氏は、デジタル通貨が通貨にとって「きわめて重要」な要素である価値の保存手段として機能することを想像することは難しいと語った。
ハーパー氏は、すべての通貨には3つの目的(交換手段、価値尺度、価値の保存手段)があり、デジタル通貨は交換手段であり、価値尺度になり得るが、ビットコインが価値の保存手段として機能することは想像できないと言う。
その理由は「投資家として私は、ビットコイン投資が何を表しているのか理解できないからだ」と述べた。
ハーパー氏はまた、中央銀行が独自のデジタル通貨、いわゆる中央銀行デジタル通貨(CBDC)の発行を検討しているトレンドにも触れた。
「究極的にはデジタル通貨が存在し、中央銀行の役割がインフレのコントロールと、安定した通貨と価格の安定性を生み出すことならば、デジタル通貨はまさに市場の進化と言える。しかし、中央銀行の役割にかかわる突飛な実験のようなものの一部なら、大いに心配だ」
|翻訳:山口晶子
|編集:増田隆幸、佐藤茂
|画像:スティーブン・ハーパー元カナダ首相(Shutterstock)
|原文:Former Canadian Prime Minister Lists Bitcoin as Possible Future Reserve Currency