ビットコインの価格は先週に大きく下落し、21日時点で年初からの上昇幅をほぼ一掃した。一方、取引データを見てみると、短期的な弱気ムードが強まった市場の中で、機関投資家がビットコインを買い続けていたことがわかった。
データサイトのグラスノード(Glassnode)によると、ビットコインが21日に一時3万ドルを割る一方で、1000ビットコイン以上を保有するアドレス数、いわゆる「クジラ」の数は増加している。
その数は12月下旬に減少したが、今年に入ってから再び増加に転じた。
韓国のデータサイト「クリプトクワント(CryptoQuant)」によると、ネットワーク上のビットコイン総取引高は依然として高い水準にある。
取引所が関与するビットコインの送信量がネットワーク全体の送信量に占める割合は上昇していない。これは、ほとんどの取引が、機関投資家が好む店頭(OTC)取引で行われたことを示している。
「ネットワークの取引の7%だけが取引所で行われ、93%は店頭取引のような取引所外で行われている」とクリプトクワントのキ・ヨン・ジュ(Ki Young Ju)最高経営責任者(CEO)は述べる。
機関投資家の「押し目買い」
下落時の大規模な買いの一例は米マイクロストラテジー(MicroStrategy)だ。22日、同社は1000万ドルで314ビットコインを購入したと発表した。マイクロストラテジーのような企業による「押し目買い」(一時的な下落局面での買い)は珍しいものではない。
暗号資産デリバティブ取引所オーケーエックス(OKEx)の調査部門、オーケーエックス・インサイツ(OKEx Insights)がまとめた直近の市場レポートによると、機関投資家は昨年、価格ボラティリティが高かった時(=価格が大きく変動した時)も「様子見」のアプローチを取らなかった。
1000ビットコインを超える取引の割合は2020年6月下旬にはわずか5%超だったが、9月には45%以上に急増し、現在も高水準を維持しているという。
「ポール・チューダー・ジョーンズ氏がビットコインへの参入を発表した後、機関投資家の参入は続き、年末まで止むことはなかった」(レポート)
オーケーエックス・インサイツのシニアエディター、アダム・ジェームズ(Adam James)氏は、最近の価格ボラティリティは、オーバーレバレッジにあった投機トレーダーや個人投資家が弱気になったことが原因と述べた。
「機関投資家のビットコインへの関心が突然に消えると考えられる理由はほとんどない」とジェームズ氏は述べ、マイクロストラテジーによる新たなビットコイン購入や大手資産運用会社ブラックロック(BlackRock)がビットコイン先物への関心を示したことに言及した。
「機関投資家は投資の際、より長い期間を念頭に置いている傾向がある。今回の価格下落に惑わされることはなく、より安値での投資を喜んで行う可能性がある」とジェームズ氏は述べた。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸、佐藤茂
|画像:CryptoQuant
|原文:Institutions Keep Buying Bitcoin’s Dip, Despite Near-term Volatility: Data