- 仮想通貨取引所のビットフィネックス(Bitfinex)が、 関連会社でステーブルコインを扱うテザー(Tether)が管理する資産を利用して、巨額の損失を隠ぺいした疑いで、米ニューヨーク州司法当局に訴追された。ビットフィネックスの創業の経緯や過去のトラブルについて詳報した2016年8月の記事を、2回に分けて紹介する。<上>はこちらから。
運営上の問題
ビットフィネックスは、ユーザーをプラットフォームに引き付けることには成功していたが、それと同時に常に技術的な問題に悩まされていた。このことは、コミュニティーの一部に不安を抱かせ、ユーザーが別の取引所を探す原因となった。
同社ではデータセンター問題、API問題、データ破損に起因するダウンタイムが何度か発生していた。ウェブサイトに技術的な問題はつきものだが、このような問題が繰り返し発生したことにより、「バグフィネックス」というあだ名が生まれた。
これらの問題の一部はビットコインの価格そのものにも影響を及ぼした。
2015年8月、ビットフィネックスは処理後に問題が発生することを理由として、同社のオーダーブックを閉じた。同社で起きた「フラッシュ・クラッシュ(瞬間暴落)」がビットコイン相場を急落させた1週間後の出来事だ。当時、問題は同社がアルファポイントをシステム統合したことに起因しているとされた。
システムの一部は再びオンラインとなったものの、この統合が同社の注文システムに及ぼした影響およびその問題は、この取り組みの失敗を決定づけたと言われている。
止まぬ批判
日常的な問題はさておき、同社は創業以来かなりの批判を受け、物議を醸して来た。
ビットフィネックスがベータテストを開始した際は、同社がビットコイニカのソースコードを利用していることが問題視された。また、ビットフィネックスCSOのポッター氏は2015年初めに同社のプラットフォームで取引していることをウェール・クラブで明かし、ビットコイン取引コミュニティーの一部から強く批判されている。
同社広報担当者は後にポッター氏の発言を弁明し、同社の従業員は管理者の監視のもと、取引プラットフォームにアクセスしていると信じているとの見解を示した。
いずれにせよ、同社は優位的地位を利用して取引をしていると非難を受け、このことはマウントゴックスとその破産後に裏付けられた不正操作を彷彿とさせた。
2015年には、流出メールがソーシャルメディアで拡散し、同社が米商品先物取引委員会(US Commodity Futures Trading Commission)に捜査されているという噂が浮上した。
後に、同機関は、ユーザーの資産に対して不正なカストディを提供していたとして、ビットフィネックスに7万5000ドルの罰金を科している。
未知の領域
ビットコインの歴史を振り返る際、取引所エコシステムの成功と失敗を見るのも一つの手だろう。そして、今ビットフィネックスは良くも悪くもその歴史の中で重大な立ち位置にいる。
トレーダーたちの見解では、8月3日の盗難事件が直ちに同取引所を破滅に追い込む可能性は低い。しかし、復旧計画、および同社が発行したコインの成否は間違いなく重大な影響を及ぼすだろう。
目先、かつトレーダーの目線で考えると、今のところ開放されていない資産にアクセスできるようになることが重要要素だ。
ビットフィネックスが提供している証拠金取引の魅力を踏まえると、同取引所は今後も運営し続けられるかもしれない。しかし、ユーザーが資産を引き出すか、同取引所を支え続けるかはまだ分からない。
翻訳:Yuta Machida
編集:佐藤茂、浦上早苗
写真:Wilting Bitfinex logo via cryptograffiti
原文:Bitfinex Examined: Inside the Troubled Bitcoin Exchange’s History