アメリカの複数の有名大学の基金は、暗号資産取引所を運営するコインベース(Coinbase)などに保有する口座を通じて密かにビットコインを購入していた。関係者への取材でわかった。
大学基金は多くの場合、寄付で集められた資金で成り立っている。教育や研究を支援するための資金で、投資目的で複数の資産に割り当てられることもある。
ハーバード、イェール、ブラウン、ミシガンなどの複数の大学は、取引所を通じて暗号資産を購入している、CoinDeskが事情に詳しい複数の関係者の話として報じた。2018年当時、複数のアイビーリーグの大学基金は、暗号資産に特化したベンチャーキャピタルファンドを通してブロックチェーン技術に関心を示していた。
「現在、多くの基金が資産を少しずつ暗号資産に割り当てている」と匿名を条件に関係者は語った。
CoinDeskは各大学にコメントを求めたが、イェール大学とブラウン大学の基金からは記事公開時までに返答はなかった。ハーバード大学とミシガン大学はコメントを控えた。また、コインベースもコメントを控えている。
大学基金に関しては、コインベースの2020年の年次報告書で一度触れられただけで、大学名などは明らかにされていなかった。
関係者の1人によると、名前があげられた大学基金の中のいくつかは、18か月前からコインベースに口座を保有している可能性があるという。
「2021年のどこかの時点で発表されるだろう。相当のリターンを積み上げてきたに違いない」
最も規模が大きいのはハーバード大学の基金で、資産は400億ドル(約4兆1500億円)を超える。イェール大学は300億ドル以上、ミシガンは125億ドル以上、ブラウンは約47億ドル。各基金が暗号資産に割り当てている金額はわからないが、総資産のわずかな割合だろう。
大学と暗号資産
2018年、イェール大学の最高投資責任者、デイビッド・スウェンセン(David Swensen)氏が暗号資産に特化した2つのベンチャーファンドを支援したことで話題を呼んだ。
1つはベンチャーキャピタルのアンドリーセン・ホロウィッツ(Andreessen Horowitz)が運営するファンドで、もう1つはコインベースの共同創業者フレッド・エールサム(Fred Ehrsam)氏とセコイア・キャピタル(Sequoia Capital)の元パートナー、マット・フアン(Matt Huang)氏が立ち上げたファンドだった。
ハーバート、スタンフォード、ダートマス、MIT(マサチューセッツ工科大学)、ノースカロライナ、ミシガンなどの複数の大学がイェールに続いた。そうした大学の中には、暗号資産に直接投資するという次のステップに進んだ大学もあるようだ。
「もしもこの話を3年前に聞いていたら、間違っていると言っただろう。しかし、今や多くの機関投資家がビットコインを好意的に捉えている。ビットコインを理解しており、コインベースやフィデリティ(Fidelity)、アンカレッジ(Anchorage)のような認可を受けた企業から直接購入することができる」と、ブロックタワー・キャピタル(BlockTower Capital)の共同創業者でシカゴ大学の元投資マネージャーのアリ・ポール(Ari Paul)氏は述べた。
|翻訳:石田麻衣子
|編集:増田隆幸、佐藤茂
|画像:Yale University(Shutterstock)
|原文:Harvard, Yale, Brown Endowments Have Been Buying Bitcoin for at Least a Year: Sources