アメリカでは毎年1月に確定申告のシーズンが始まる(期限は4月15日)。過去を振り返ると、1月はビットコインの価格パフォーマンスが他の月に比べて低下する月でもある。一部のアナリストは偶然の一致ではないと主張する。
2014年〜2020年にかけて、ビットコインが1月に下落する現象が、7回のうち4度、3月に下落した年は7回のうち6回起きている。デルファイ・デジタル(Dephi Digital)によると、平均下落率はそれぞれ5.24%、12.59%だった。
「確定申告シーズンを迎えると、ビットコインはこれまで他の月に比べてパフォーマンスが低下している。これは、単独では予測と言えるものではないが、注目に値する」とデルファイ・デジタルのアナリスト、ポール・バーレッジ(Paul Burlage)氏は話す。
CoinDeskのBitcoin Price Indexによると、ビットコインは28日午前(日本時間)、一時3万ドル(約313万円)を下回った。
納税に備えた売却か
デルファイ・デジタルの1月のレポートによると、価格下落の主な理由の1つとして、「前年に暗号資産(仮想通貨)を取引して大幅な利益を得た投資家たちが、想定される納税額をカバーするために少なくとも保有資産の一部を売却しなければならない可能性が高い」という。
「どれくらいの売り圧力になるかを正確に予想することは難しい。法域ごとにキャピタルゲイン(売却益)に対する優遇措置は異なる」とデルファイ・デジタルの共同創業者、ケビン・ケリー(Kevin Kelly)氏は述べる。
「昨年、ビットコインの時価総額は4000億ドル(約42兆円)以上増加した。その増加分の相当分はすでに利益確定を行ったか、あるいは利益を他の暗号資産などに注ぎ込んだ投機家やトレーダーの手にわたっており、課税対象となる」(ケリー氏)
米内国歳入庁(IRS:Internal Revenue Service)は昨年12月、暗号資産関連の質問に対する回答を盛り込んだ改訂版ガイダンスを発表している。
含み益への課税の可能性
ここ数日、ジャネット・イエレン(Janet Yellen)財務長官の含み益に対する課税の提案をめぐって市場はざわついている。同提案は、暗号資産関連の利益に大きな影響をもたらすと言われる。
含み益に対する課税提案は、ほぼすべての資産の投資家に対して、ある程度の影響を及ぼすことになるとトレードブロック(TradeBlock)のジョン・トダロ(John Todaro)氏は先週、米CoinDeskの取材で述べている。
バイデン政権による課税の提案には、暗号資産投資家に影響を与える可能性のあるものが複数含まれており、大口投資家などは注視している。
|翻訳:山口晶子
|編集:増田隆幸、佐藤茂
|画像:Shutterstock
|原文:Bitcoin ‘Underperforms’ During Tax Time: Analysis
|取材協力:Bradley Keoun