日本とアメリカに拠点を持つ暗号資産(仮想通貨)取引所のbitFlyerは、両国で投資と暗号資産についてのアンケート調査を実施。米国では暗号資産に対するイメージはポジティブで、金融商品の投資意欲が強いのに対して、日本においては米国とは対照的な見方や保守的な投資スタンスが存在していることが分かった。
bitFlyerは1月、日本と米国に在住する20~59歳の男女3,000人を対象にオンラインでアンケート調査を実施。同社は4日、調査結果を発表した。調査は、両国それぞれの消費者動向が反映されるよう、国勢調査の結果に基づいた性別・年齢構成で行われた。
暗号資産に対するイメージについて、米国では回答者の76%が「ポジティブ」と答えたのに対して、日本では78%が「ネガティブ」と回答。暗号資産の利用経験率は、米国の22%に対して、日本では5%だった。
そもそも投資に対して消極的な日本
日本と米国では社会保障や年金制度が異なり、金融商品の投資に対する動機の強さというものは大きく違う。bitFlyerの調査でも、日本の約7割の回答者が「投資をしていない」と回答したのに対して、米国では8割以上が投資をしていると答えている。
また、同調査では、日本の回答者の約8割が「2021年は投資額を増やしたくない」を選択した一方、米国では68%が「増やしたい」を選び、両国の投資スタンスにおけるギャップが鮮明になった。
日本では2019年に、金融庁のワーキンググループが「年金だけでは老後資金が2000万円不足する」と試算した報告書をまとめ、世代に関係なく未来に必要なお金をどう確保すれば良いのかという不安を煽った。同時に、資産運用の必要性を意識する若い世代が増加し始めたとも伝えられている。
盗難の不安がネガティブ要素
bitFlyerの調査で、暗号資産のイメージを「ポジティブ」と回答した理由としては、日米両国において「暗号資産の将来性」や「価格上昇に期待」とのコメントが集まった。
ビットコインは米ドルの値動きとは逆に動くと考えられ、インフレ率の上昇に伴い米ドルの価値が今後、低下すれば、ビットコインの価値はさらに上昇していくだろう(米国在住の20代男性)。
一方、同調査では、日本で「ネガティブ」と回答した理由として、過去に起きた暗号資産の流出事件による印象が根強いことが分かった。詐欺や盗難などの不安があるという回答に加えて、「セキュリティに不安があり、信用できないところがある」とのコメントが寄せられた。
2018年1月、暗号資産取引所のコインチェックから当時580億円相当の暗号資産「NEM(ネム)」が不正に流出。翌年7月には、取引所のビットポイントが、国内外で管理していたホットウォレットからビットコインやリップルなどが不正に流出したと発表している。
|文・編集:佐藤茂
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