マネックス、暗号資産事業の利益3倍増──コイネージは撤退へ

国内の暗号資産交換業界では激しい競争が続くなか、顧客と収益を拡大できる事業者と、撤退さえも余儀なくされる取引所との格差が目立ってきた。

暗号資産取引所のコインチェックを傘下に持つマネックスグループは29日、4月~12月期の連結税引き前利益が前年同期からほぼ3倍に増え、89億円になったと発表した。そのうち、暗号資産事業の利益は3.3倍の24.2億円となり、過去最高を記録した。

(グラフ:マネックスの決算説明資料より)

ビットコインの価格高騰に加えて、コインチェックでの取引量の増加が収益の増加に寄与した。ビットコイン以外の暗号資産、いわゆるアルトコインの取引量も増加した。

また、コインチェックでは取り扱う暗号資産の種類が増加しており、顧客獲得にもつながっている。今月には新たにエンジンコイン(Enjin Coin=ENJ)を上場し、同社が取り扱う暗号資産は15種類になった。

コイネージは撤退を発表

一方、コイネージ(本社・東京港区)は29日、暗号資産交換事業から撤退すると発表した。

同社は昨年7月に、暗号資産交換業者として金融庁に登録したばかりで、ビットコイン(BTC)を扱う取引事業を進めてきた。他の取引所との競争が厳しく、当初計画していた顧客数と収益目標を大きく下回る状況が続いたと、コイネージは発表文で説明した。

コイネージは29日に開いた取締役会で同事業の撤退を決議し、廃止日は今年3月末。

2019年と2020年の2年間で、国内では10の事業者が金融庁に交換業者として登録。その中には、楽天傘下の楽天ウォレットやLINEグループのBITMAXに加えて、米取引所大手「クラーケン(Kraken)」を運営するペイワードなどが国内で取引所事業を始めた。

昨年10月には、取引所「SBI VC トレード」を運営するSBIホールディングスが、Zホールディングス傘下で取引所を手がけてきたTaoTaoを買収。ネット証券事業を拡大させているSBIは、暗号資産取引においても顧客ベースを広げている。

|編集:佐藤茂
|画像:Shutterstock