ブロックチェーンでデジタル資産の管理や検索、配布をおこなうプラットフォームを開発するシンガポールのEnjinは、個人の投資家が大型の不動産を100ドル程度から小口投資できる仕組みを構築するため、香港でデジタル投資プラットフォームを手がけるLABSグループと連携する。
Enjinは2日、LABSとのアライアンスを発表。計画では、Enjinのプラットフォームを通じて、ホテルやアパートなどの不動産の所有権をトークン(ノンファンジブルトークン=NFT)で発行し、多くの個人投資家が参加するクラウドファンディングを可能にさせる。これまで、企業や大口投資家が占めてきた大型不動産の投資領域に、個人投資家が参入できるようになる。
Enjinは、所有権をトークン化することで、世界で228兆ドルの規模を持つ不動産市場の流動性を高めることが可能になると発表文で述べる。イーサリアムブロックチェーンで取引を処理し、不動産の開発業者と購入者は、仲介業者などへの手数料の支払いを回避でき、取引決済にかかる時間を大幅に削減できるようになる。
228兆ドル市場の民主化
承認された不動産所有者や開発業者は、アパートやホテルの部屋、建物全体を断片化されたトークン(NFT)として発行し、LABSの証券取引所を介して取引することができる。投資家は、Enjinのブロックチェーンウォレットを利用して、資産を保存・管理できる。また、Enjinの検索機能(ブロックチェーンエクスプローラー)を使えば、トークンの所有権や履歴などを確認することができる。
Enjinは2009年、ゲーマー向けのコミュニティ運営プラットフォーム「Enjin Network」をスタートさせ、2000万人を超えるユーザーを獲得。その後、ブロックチェーン上でデジタル資産の管理・検索・配布ができるエコシステムの開発を進めてきた。
Enjinのエコシステムでは、イーサリアムベースの暗号資産(トークン)「Enjin Coin(ENJ)が、資産の裏付けに利用されている。日本では、暗号資産取引所のコインチェックが1月に、Enjin Coinの取り扱いを開始している。
一方、LABSグループは、トークン化された不動産資産を証券取引所で取引できるデジタル投資プラットフォームを運営している。ブロックチェーンとスマートコントラクトを利用して、不動産開発者と投資家が効率的にコミュニケーションが取れる環境を整備している。
|編集:佐藤茂
|画像:Enjinの発表文より