大物投資家、ラッパーを魅了した暗号資産ファンド

ヘッジファンド業界のパイオニアで知られるポール・チューダー・ジョーンズ(Paul Tudor Jones)氏、ラッパーで人気TVシリーズに出演しているLL Cool J氏、ペプシコ・元CEOのインドラ・ヌーイ(Indra Nooyi)氏……。

投資ファンドを運営するノースアイランド・ベンチャーズ(North Island Ventures)が新たに7200万ドル(約76億円)のVCファンドを立ち上げたが、その出資者リストには華やかな名前が並ぶ。

ベンチャー投資を目的に設立された同ファンドを運用するのは、390億ドル(約4兆1000億円)規模の資産残高を有する大手プライベート・エクイティのSilver Lake Partners・共同設立者、グレン・ハッチンズ(Glenn Hutchins)氏だ。

ハッチンズ氏は、他のPE会社とは異なり、暗号資産(仮想通貨)とブロックチェーン技術に高い関心を持つ、暗号資産業界の大御所のような存在だ。

「この話を聞いて、グレン・ハッチンズ氏が慌てて参入してきていると思う人もいるだろう。だが実際は、彼は金融業界の中で最も早い時期にこのテクノロジーを支持したリーダーの1人だった」とデジタル・カレンシー・グループ(Digital Currency Group)の元投資家で、新ファンドの共同設立者でもあるトラビス・シャー(Travis Scher)氏は述べる。

この新しいファンドは、昨年初めから密かに暗号資産やブロックチェーンプロジェクトに出資している。出資先には、人気のブロックチェーン・ゲーム「NBA Top Shot」を運営するダッパー・ラボ(Dapper Labs)や、二酸化炭素の排出削減量を証明する炭素クレジットの追跡プラットフォーム「Nori」が含まれる。

ラッパーをはじめとする多くの有名人が2017年のICO(イニシャル・コイン・オファリング)ブームで、数々のブロックチェーンプロジェクトに加わった。だがシャー氏によると、今回はより慎重なアプローチでファンド運営を行うという。

「我々のファンドにLL Cool J氏が参加したことは、きわめて得難い経験だったと言える。エンターテインメントを含む、さまざまな業界の人々が、この技術がどのようなチャンスを提供してくれるのかについて興味を持っていると思う」とシャー氏はコメントした。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸、佐藤茂
|画像:Shutterstock
|原文:$72M Crypto Fund Backed by Paul Tudor Jones and LL Cool J Comes Out of Stealth