ドイツ銀行が、企業を対象にした暗号資産(仮想通貨)の管理・保有事業を計画していることがわかった。
世界経済フォーラム(WEF)で公開された資料には、同行の「ドイツ銀行デジタル資産カストディ(Deutsche Bank Digital Asset Custody)」と呼ばれるプロトタイプの概要が記載されている。事業会社を対象にしたデジタル資産の管理・保有(カストディ)プラットフォームを開発し、暗号資産のエコシステムにおいてシームレスな接続性を提供するという。
ドイツ最大の銀行であるドイツ銀は、取引とトークンの発行が可能なプラットフォームを作り上げ、従来の銀行サービスとデジタル資産を結ぶ取り組みを計画していると、昨年12月にまとめられた同レポートの中で述べている。デジタル資産と法定通貨などの保有が簡単にできるプラットフォームの構築を目指していく。
欧米銀の参入相次ぐ
過去数カ月の間、欧州の大手銀行は相次いで、暗号資産のカストディ事業への参入を発表している。世界最大規模のカストディ業務を運営するバンク・オブ・ニューヨーク・メロン(Bank of New York Mellon)は今週、暗号資産のカストディ事業の開始を発表したばかりだ。
ドイツ銀は、事業会社が利用できる高いグレードのホットウォレットとコールドウォレットを完備し、安全性と機能性を担保していく。同レポートには、具体的な暗号資産の種類やトークンの名前などは記載されていない。
同行が計画するカストディプラットフォームは段階的に、サービスをスタートさせていく。最終的には、プライムブローカーや発行体、取引所などとの連携を通じて、事業会社がデジタル資産を売買できる基盤を構築していく。
サービスの一部は今年中にスタート
また、同プラットフォームには、価値評価サービスや税金計算、貸し出し、ステーキングなどの機能も搭載させる。想定する主なユーザーは、資産運用会社、ファミリーオフィス、デジタル資産ファンド、銀行、企業があげられる。
まずは、カストディサービスの手数料収入が初期段階の主な事業収益になるが、将来的には資産のトークン化と取引サービスにおいても手数料を課していく。既に、概念実証実験は終了しており、サービスの一部は今年中の開始を目指す。
ドイツ銀の広報担当は、今回の取り組みについてのコメントを控えた。
|翻訳抜粋:coindesk JAPAN
|編集:佐藤茂
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|原文:Deutsche Bank Quietly Plans to Offer Crypto Custody, Prime Brokerage