米電気自動車メーカーのテスラによる大量のビットコイン購入などデジタルな通貨を扱う暗号資産市場が好調な一方、ドル円などのFX市場も取引高が過去最高水準で推移するなど活況を呈している。
平日は24時間取引ができるメリットがあるFXは様々な資産運用と併用されるが、株式などの証券取引と異なり源泉徴収制度がないため、確定申告の必要性に注意したい。
確定申告の義務があるにも関わらずしなかった場合は追徴課税を負うこともあるので、年末取引報告書の用意をして準備しよう。FXの確定申告について、義務がないケースや申告できる経費、利用できる制度を紹介する。
FXで確定申告の義務がないケース
前提として、FXの利益には所得税、住民税、2037年までは復興特別所得税がかかり「15%(所得税)+5%(住民税)+0.315%(復興特別所得税)」の20.315%の税金が課される。
FXで利益を得ている場合は基本的に確定申告の義務があるが、不要になるケースもあるので確認しておこう。
給与所得があり雑所得が20万円以下
会社員で給与所得があり、年末調整を勤務先の企業におこなってもらう場合は、20万円以下の雑所得に関して確定申告が不要となっている。この20万円はFXの利益だけでなく、その他の副業などで得た利益も含まれる。
また、このルールで勘違いしやすい点が2つある。給与収入が2,000万円を超える場合は確定申告が必要となり、条件を満たしている場合でも所得税の納付は必要ないが、住民税の納付が必要になるので住民税の申告が別途必要になる。
扶養家族で雑所得が48万円以下
扶養親族に該当する学生や配偶者の雑所得が48万円以下である場合は確定申告の義務はない。48万円(令和元年以前は38万円)という数字は配偶者の方であれば配偶者控除の対象になるかどうかの区切りとなる数字だ。
FXで申告できる経費
確定申告では、利益を得るために必要な出費を経費として申告できるが、FXで利益を得た場合も例外ではない。FXの利益を得るために必要と判断される出費は申告できる。
具体的には以下のような出費が確定申告で認められる。
- 研修費
- 通信費
- 手数料
- 消耗品費
研修費はFXの勉強にかかった費用のことである。書籍の代金や、FXセミナーへの参加費用があればFXの利益に必要な費用として申告することができる。業務上必要な資格取得にかかる費用を経費として申告できることからも、経費としては分かりやすいだろう。
次に通信費だが、FX会社を利用して取引をおこなうためにはインターネットへの接続が必要になるため、毎月の通信費も申告することが可能だ。手数料はFXの売買手数料や、振込手数料のことである。こちらはFXで利益を得るために必要な手数料であるため申告できる。
消耗品費はFXであれば取引に利用したパソコンがあげられるが、パソコンの購入費用をFXの消耗品費として申告できるかどうかは税務上難しい判断となる。パソコンはFX以外の用途にも使われることが考えられ、FXの用途として購入したパソコンのスペックが必要以上に高いものであればFXの利益を得るための出費であると認められない可能性がある。
消耗品費以外でも、FXの利益を得るための費用として認められるかどうか判断が難しい費用に関しては税務署に相談をしてから申告をしたほうがよいだろう。
FXの確定申告で利用できる制度
FXで確定申告の義務があるのは利益を得た者だけであり、損をした場合は義務がない。しかし、損をしている場合でも制度を利用して申告すると税制的に有利になることがある。
損益通算
損益通算はFXの利益に対して損失を申告することで節税する制度だ。例えば、FX会社Aで200万円の利益が発生したが、FX会社Bで50万円の損失が発生している場合に損失を申告することで、利益から損失を差し引いた150万円を課税対象にすることができる。
繰越控除
損益通算は翌年の利益にも繰り越して控除することが可能だ。この制度を繰越控除と呼び、仮に今年100万円の損失が発生して翌年の利益の30万円を控除しても、翌々年の利益を70万円までであれば控除することができる。
昨年度にFXで損失が発生している方で今年利益が発生しているなら、損失も申告することで節税できる。ただし、損失は発生してから3年以内に繰越控除をしなくてはならない。もし、FXで損失が発生したらできる限り早く利益に対して申告して控除を受けたいところだ。
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FXの確定申告はe-Taxなどを利用してスムーズに
FXの確定申告をスムーズにおこなうなら、e-Taxでのオンライン申告が便利だ。マイナンバーカードとマイナンバーを読み込むカードリーダーがあれば、オンラインで簡単に確定申告ができる。
マイナンバーカードに関してはFX会社で口座を開設する際に求められることも多いので作っていない方はマイナンバーカードを作成しておこう。マイナンバーカードの作成には3~4週間かかるため、e-Taxで申告をするなら確定申告の期間(令和3年2月16日~3月15日)に間に合うようマイナンバーカード作成の手続きを済ませる必要がある。
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文・編集:coindesk JAPAN編集部
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