ビットコイン(BTC)は16日午前(米東部時間)に5万ドルを超えた後、不安定な値動きとなった。強気姿勢を維持するアナリストやトレーダーと、近い将来の価格修正を警告する市場関係者が混在する。
テクニカルチャートは、横ばい傾向を示している。
また、CoinDesk 20がデータを収集している8つの主要暗号資産取引所でのビットコインの取引高も同日は横ばいで推移した。
一方、データサイトのグラスノード(Glassnode)によると、取引所のビットコイン残高は減少を続けており、一部のアナリストは強気サインと見ている。
強気の見解
「過去最高水準の領域にあり、次の抵抗線や支持線については不透明感がある。私の見解では、短期間のうちにさらに最高値となる」とビットコイン店頭取引ブローカーのアレッサンドロ・アンドレオッティ(Alessandro Andreotti)氏は予測する。
個人投資家がデリバティブ市場に関心を示していることが、今回の価格上昇を牽引している。
Arcane Researchによると、個人投資家向けプラットフォームでの3月先物の年率換算の平均プレミアム率は44.16%。機関投資家向けプラットフォームであるシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の24.39%を上回っている。
「暗号資産、特に先物への純流入は続いている。業界内部の人は、特に強気姿勢を維持している」と、暗号資産デリバティブ取引所FTXのサム・バンクマン-フライド(Sam Bankman-Fried)CEOはコメントした。
価格修正の警告
一方、短期的な価格修正を警告するだろうとの見方も聞こえてくる。特に先週発表された米電気自動車大手テスラの15億ドルのビットコイン購入のほかに、新たな要素がない場合、価格修正の可能性は大きいという。
「市場は2万ドルを突破して以来、放物線状に上昇している。テクニカル分析は、数日から数週間のうちに健全な引き戻しが必要と警告している」と、暗号資産取引所LMAX Digitalのジョエル・クルーガー(Joel Kruger)氏は述べた。
「5万ドルという価格水準は、個人投資家にとっては比較的高く、追いかけることは簡単ではない」と話すのは、香港に拠点を置き、暗号資産融資を手がけるBabel Financeのシモンズ・チェン(Simons Chen)氏。個人投資家が短期的にビットコインを現在の記録的な高値以上に押し上げる可能性はほとんどないと同氏は付け加えた。
シンガポールのQCP Capitalも、短期的な価格動向については厳しい見方を示し、ビットコイン価格はこれまで、3月に季節要因のために下落する傾向があると述べた。
「新たな上昇要因がないまま、ビットコイン価格が現状で横ばいとなるほど、3月に下落傾向がより長く続くことが予想される。以前から強調しているように、3月の下落傾向の後に、4月の上昇傾向が続くことは、ビットコインの最も強力かつ継続性のある季節的パターン。今はまだ時期尚早だが、2月末に取引高がさらに減少した場合、3月末に下支えを模索することになるだろう」(QCP Capital)
一方で、内部留保で大量のビットコインを購入しているマイクロストラテジー(MicroStrategy)が、さらなるビットコイン購入を準備していることは、市場の上昇要因となり得る。
また、ロサンゼルスに拠点をおく投資会社Wedbush Securitiesは、テスラがビットコイン投資を発表したことによって、より多くの企業がビットコイン投資に乗り出し、QCPが言及した「新たな上昇要因」が現れる可能性があると述べた。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸、佐藤茂
|画像:Glassnode
|原文:Market Wrap: Bitcoin Remains Around $48.5K Amid Flat Trading Activity