「アルトコイン・シーズン」が到来しているのだろうか?
グレイスケール・インベストメンツ(Grayscale Investments)は今月、アルトコインに投資する複数の投資信託を発表した。イーサリアム(ETH)は年初からビットコイン(BTC)を上回るパフォーマンスを見せ、18日時点で142%上昇している。さらにCoinDesk 20に含まれるカルダノ(ADA)や、アルゴランド(ALGO)、0x(ZRX)などの暗号資産も値を上げている。
「アルトコイン・シーズン」や「アルト・シーズン」という言葉は、ビットコインの値動きがビットコイン以外の暗号資産である「アルトコイン」とは周期的に逆方向に動くという考え方を表している。投資家はビットコインで得た利益をアルトコインに投資する。あるいはその逆も同様という考え方だ。
ビットコインは2020年第4四半期、イーサリアムとビットコインキャッシュ、ライトコインを上回るパフォーマンスで値を上げた。これらの暗号資産は、暗号資産市場の時価総額のおよそ7割を占める暗号資産で構成されるインデックス「デジタル・ラージ・キャップ・インデックス(Digital Large Cap Index:DLCX)」に含まれている。
グラフを見ると、同四半期に好調だったライトコイン(LTC)だけが、ビットコインと同等のパフォーマンスを維持した。
これを2021年の年初からのパフォーマンスと比較してみよう。ライトコインとビットコインキャッシュ(BCH)の上昇はスローダウンしたが、イーサリアムはビットコインを大幅に上回った。
時価総額の小さなアルトコイン
本当に「アルトコイン・シーズン」は到来したのだろうか?
アルトコインのトップ3のうちの2つは、ビットコインを下回った。一方、時価総額の小さなアルトコインはビットコインを上回っている。
下図は3月16日時点のCoinDesk 20の年初からのパフォーマンスを示している。20のうち13の暗号資産がビットコインを上回っている。CoinDesk 20は、複数の信頼性の高い暗号資産取引所のデータをもとにしている。(グラフからはステーブルコインは除外した)。
上位には、カルダノ、0x、アルゴランドの3種類が並んでいる。カルダノとアルゴランドはイーサリアムのライバルを目指している。0xは「DeFiトークン」の1つだ。
今起きていることは、必ずしもビットコインとアルトコインの間の周期的な動きではなく、アルトコインの交代劇だ。市場で今、遅れを取っているのはビットコインの競合あるいは補完的存在となる暗号資産。一方、市場をリードしているのはイーサリアムの競合あるいは補完的存在となる暗号資産だ。
揺り戻しか、新しいパラダイムか
DLCXやCoinDesk 20などを見ると、言動する市場におけるパターンを見極めやすくなる。だがパターンをどのように解釈するかは別問題だ。私は2つの可能性を考えている。
1)「デジタルゴールド」「デジタルキャッシュ」に対する投資家の熱狂がビットコインに集約されている。ビットコインを支える中心的な開発者たちは、保守的なアプローチで信頼を勝ち取っている。迅速な動きやビットコインからの派生バージョンとして注目を集めたプロジェクトは、ビットコインとの関連性を失い続けるだろう。
2)新しい投資家が暗号資産に参入している。彼らは潜在的キャッシュフローの観点で考えることに慣れており、プロダクトやサービス寄りの投資を好んでいる。DeFiの必要性はまだ、投機を超えるものであることを証明できていない。しかし、投資家にとっては理解しやすいストーリーだ。
どちらの解釈があてはまるかは、時間が教えてくれる。いずれにせよ、ビットコインとアルトコインの間の周期的な動き以上の大きな変化が進行しているようだ。
|翻訳:山口晶子
|編集:増田隆幸、佐藤茂
|画像:CoinDesk Research
|原文:‘Altcoin Season’ Leaves Some Bitcoin Alternatives Frozen