ブテリン氏の保有資産は?──イーサリアム開発とその経緯

起業家でプログラマーのヴィタリック・ブテリン氏が暗号資産のイーサリアムを考案したのは、19歳の時だった。イーサリアムは現在、時価総額でビットコインに次ぐ規模にまで成長した。

ブテリン氏は、初めてビットコインに興味を持った2011年にオンライン・ニュースサイト「Bitcoin Magazine(ビットコイン・マガジン)」を共同創業し、数百本もの暗号資産に関する記事を書いた。その後、ユーザーのプライバシーを重視した「ダーク・ウォレット(Dark Wallet)」や、マーケットプレイスの「エゴラ(Egora)」でプログラマーとして働いた。

当時、ブテリン氏はビットコインにインスピレーションを受け、金融のユースケースを超えるプラットフォーム「イーサリアム・エコシステム」のアイデアを考えた。

2013年、ブテリン氏はいかなる種類の分散型アプリケーションにも対応できるプラットフォーム構想を説明したホワイトペーパーを発表する。多くの開発者は、分散型アプリケーションのアイデアに惹きつけられた。

この構想を実現するために、イーサリアムはスマートコントラクト(特定の条件が満たされた場合に特定のルールを自動的に執行するプログラム)の作成が簡単に行える仕組みになっている。ブテリン氏は2014年のティール・フェローシップ(ペイパルの創業者で起業家のピーター・ティール氏が始めた起業家育成プログラム)に選ばれ、10万ドルの資金を受け取る。イーサリアムの開発を本格化させた。


ブテリン氏に関するよくある質問

イーサリアム開発でブテリン氏をサポートした人物

ブテリン氏がイーサリアムのホワイトペーパーを発表した後、IOGのチャールズ・ホスキンソン(Charles Hoskinson)CEOや、Decentralのアンソニー・ディ・イオリオ(Anthony Di Iorio)CEO、Akasha・創業者のミハイ・アリジー(Mihai Alisie)氏をはじめとする複数の開発者が加わった。ブテリン氏は2人の共同創業者もチームに招いた。

共同創業者の1人はギャビン・ウッド(Gavin Wood)博士で、初期の設計と構築、プログラミングの大半を担った。ウッド博士はイーサリアムのイエローペーパーを書いた。台帳の状態を管理し、スマートコントラクトを実行するイーサリアム・バーチャル・マシーン(EVM)の仕様を概説する「技術バイブル」だ。

もう1人の共同創業者であるジョセフ・ルービン(Joseph Lubin)氏はその後、ブルックリンで分散型アプリの開発に重点を置いたスタートアップ企業のコンセンシス(ConsenSys)を創業した。

ブテリン氏の保有資産は?

イーサリアムのデータと取引の情報は公開されているため、ユーザーはブテリン氏がどれほどのイーサリアムを持っているかを確認できる。

ブテリン氏のメインアドレスを見ると、33万3348イーサリアムを保有していることが示されている。現在のレートで換算すると、約5億6800万ドル(約616億円)に相当する。

イーサリアムの資金調達と初期開発

プロジェクトを実現させるために、ブテリン氏と共同創業者は2014年にクラウドファンディングを開始し、参加者がプロジェクトの株式のように機能するトークンとしてイーサリアム(ETH)を購入できるようにした。

1800万ドル(約19億6000万円)超の資金を集め、当時、最も成功したクラウドファンディングとなった。そこからさらに1年の時間がかかったが、最初のバージョン「フロンティア(Frontier)」は2015年7月30日にスタートした。

特別に魅力的なプラットフォームではなかったが、コマンドライン・インターフェイスを使って、開発者は独自の分散型アプリを開発することができた。

イーサリアムはいまや数百人の開発者を抱えるエコシステムに拡大し、IBMやマイクロソフトのような大手テック企業も関心を寄せている。

最初のクラウドファンディングで調達した1800万ドルと、プロジェクト開発のための資金は現在、スイス・ツーク市にある非営利団体イーサリアム財団が管理している。

|翻訳:山口晶子
|編集:増田隆幸、佐藤茂
|画像:ヴィタリック・ブテリン氏(Christine Kim for CoinDesk)
|原文:Who Created the Ethereum Ecosystem?