機関投資家向けの暗号資産(仮想通貨)投資ファンドを運営する米グレイスケール・インベストメンツが、上場投資信託(ETF)を発行するクリアシェアーズ(ClearShares)の株式を取得した。クリアシェアーズは、同社が運営すETFの証券コード(ティッカー)を「PIFI」から「BTC」に変更したばかりだ。
グレイスケールは1週間ほど前に、運用するグレイスケール・ビットコイン・トラスト(GBTC)をETFに変更することに注力していると語っていた。
カナダではすでにビットコインETFが上場・取引されるなか、GBTCは1カ月以上にわたってビットコインの現物価格を下回る水準で取引されている。
「当社は、暗号資産ETFを市場に提供するという長期目標の一環としてクリアシェアーズに出資した。暗号資産業界に関連した投資商品で協力する可能性がある」とグレイスケールの広報担当者は述べた。
ビットコインETFは、ビットコインそのものを保有せずに個人投資家や機関投資家がビットコインに投資できる商品として、2020年から2021年にかけて再び注目を集めている。
米証券取引委員会(SEC)はこれまでビットコインETFの申請をすべて却下してきたが、米上院が14日にSEC委員長として承認したゲーリー・ゲンスラー(Gary Gensler)氏がこの方針を変える可能性もある。ゲンスラー氏は元商品先物取引委員会(CFTC)委員長で、マサチューセッツ工科大学(MIT)で暗号資産とブロックチェーンを教えてきた人物。
出資の狙いは?
クリアシェアーズは小規模なETF発行会社で、暗号資産分野での実績はないとブルームバーグ・インテリジェンスのETFリサーチアナリスト、ジェームズ・セイファート(James Seyfart)氏は述べる。旧称PIFIの運用資産残高はわずか3200万ドル(約35億円)で、「成績はあまりよくない」と話す。
セイファート氏によると、ETFの投資戦略を変更することは珍しくないという。例えば、ETFマネージャーズ・グループ(ETF Managers Group)は「ラテン・アメリカ・リアル・エステート(LARE)ETF」を「マリファナETF」に変更している。
グレイスケースがクリアシェアーズの株式をどの程度取得したのかは不明。米CoinDeskはクリアシェアーズに取引の詳細について取材したが、代わりにグレイスケールから詳細についてはコメントを控えるとの回答があった。
グレイスケールはETF専門家の採用を進めているが、ETF事業の立ち上げにクリアシェアーズのリソースを活用する可能性や、出資がティッカー「BTC」の権利購入の一部になっている可能性があるとセイファート氏は語った。
証券コードをめぐっては、14日にナスダックに上場した米暗号資産取引所コインベース(Coinbase)が、同社株のティッカーを「COIN」に定めた。それに対してロンドン市場で同じく「COIN」を使っている会社が懸念を表明している。
|翻訳:山口晶子
|編集:増田隆幸、佐藤茂
|画像:グレイスケールのマイケル・ソネンシャインCEO(CoinDesk archives)
|原文:Guess Who Might Be Buying $BTC? Grayscale, the Power Behind $GBTC