米国の地方銀行大手のU.S.バンク(U.S.Bank)が、ビットコインに関連する事業を拡大させる。
暗号資産のインフラ企業「セキュレンシー(Securrency)」への戦略的投資に加えて、U.S.バンクは27日、カストディ事業者と提携し、新たに暗号資産カストディ商品を提供すると発表した。アライアンスを組むカストディ事業者については、明かされなかった。
また、U.S.バンクは、暗号資産のフィンテック企業、NYDIGが計画するビットコイン上場投資信託(ETF)の管理会社(運用会社)に選定されたと発表した。同ビットコインETFは、証券取引委員会(SEC)の承認が必要となる。
富裕層をターゲットにする大手金融
大手金融機関の暗号資産への取り組みでは大きな動きが続いている。米銀最大手のJPモルガン・チェースは今週、モルガン・スタンレー(Morgan Stanley)やゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)などに続き、富裕層顧客にビットコインファンドを提供する計画を進めていると伝えられた。
ウォール街の大手金融機関が大きな注目を集める一方で、アメリカ有数の地方銀行であるU.S.バンクは2015年からブロックチェーン技術に取り組んできた。
米通貨監督庁(OCC:Office of the Comptroller of Currency)が昨年、連邦政府の認可を受けた国法銀行(アメリカには州法銀行もある)の暗号資産カストディ業務を認可したことで、暗号資産カストディプロバイダーを選択するプロセスは大幅に加速したと、U.S.バンクの戦略責任者クリスティン・ワルドロン(Christine Waldron)氏は米CoinDeskに語った。
NYDIGは、JPモルガンの新しいビットコインファンドのカストディアンに選ばれたと報じられているが、NYDIGはU.S.バンクのカストディアンになるのかとの質問に対して、ワルドロン氏は次のように回答した。
「自由にコメントすることはできない。提案依頼書(RFP)が作られ、ベンダーが選択された。まもなく我々の準備が整う。こうしたタイプの商品を安全な方法で、効果的に提供するために適切なリスク管理が行われていることを確認したいだけだ」
同氏は、U.S.バンクが計画している暗号資産関連のサービスについて、「ビットコインのみにとどまらない」とコメント。「モルガン・スタンレー、ゴールドマン、JPモルガンはいずれも富裕層顧客に提供するものに注力していると考えている。我々は、そうしたファンドを運用する投資管理コミュニティが活用できるスケーラブルなインフラを作りあげていく」
|翻訳:新井朝子
|編集:増田隆幸、佐藤茂
|画像:George Frey/Bloomberg via Getty Images
|原文:US Bank Selects Cryptocurrency Custodian, Wins Admin Role for NYDIG’s Bitcoin ETF