暗号資産(仮想通貨)市場は、ビットコインが主導する時期とアルトコイン(ビットコイン以外の暗号資産)がけん引する時期の間で揺れ動く傾向がある。
暗号資産の世界ではビットコイン(BTC)が中心に存在し、イーサリアム(ETH)をはじめとするビットコイン以外の暗号資産はオルタナティブ(alternative=代替するもの)と考えられている。アルトコイン主導の時期は「アルトシーズン(alt seasons)」と呼ばれる。
イーサリアムの価格が年初から急速に上昇したことで、2021年は現時点までの間、アルトシーズンである。昨年第4四半期(10~12月期)はビットコインが主導していた。こうした市場のモメンタム(勢い)の変化のタイミングは、強気市場の中でリターンの最大化を狙う投資家にとって重要だ。
上図は、強気の時期と弱気の時期におけるビットコインとイーサリアムのリターンを比べたものだ。ビットコインは(今のところ)すべての暗号資産のベンチマークになっているため、その価格を強気市場と弱気市場の開始と終了の定義に使っている。
方法は簡単だ。強気市場あるいは弱気市場への移行は、ビットコイン価格が20%以上変動し、その後90日以上、価格が変動前の水準に戻らないことと定義している。
図の右上を見るとわかるように5月2日時点、現状は過去のパターンを踏襲している。今もそうだ。例えば、イーサリアム価格の4000ドルは、2020年3月中旬の底値から約340%のリターンにあたる。そしてイーサリアムが4000ドル、ビットコインが5万5000ドルになると、イーサリアムとビットコインのギャップは広がり、2021年の暗号資産市場は前例のないアルトシーズンとなる。
ベンチマークとしてのビットコイン
この図の1つの問題点は、イーサリアムとビットコインの間のギャップがさらに広がると、市場のベンチマークとしてのビットコインの有効性が損なわれる可能性があることだ。
また、ファンダメンタルな傾向として、ビットコインのドミナンス(暗号資産全体の時価総額に対するビットコインの時価総額の割合)の変化がある。ビットコインのドミナンスとは、今週のイーサリアムの値動きによって、45%を下回っている。
ビットコインのドミナンスの長期的な低下は、強気市場と弱気市場の間で一歩進んで二歩下がるようなものだ。弱気市場では、アルトコインからビットコインの相対的な安全性への資金移動が起こり、強気市場では追加リスクを受け入れ、アルトコインの市場シェアを拡大する。
この傾向が続けば、いずれは市場のベンチマークとして、CoinDesk Digital Large Cap Indexなど、より広範なデータが求められるようになるだろう。そうなれば、暗号資産は株式市場のメカニズムに近づくことになる。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸、佐藤茂
|画像:CoinDesk Indexes and Coin Metrics
|原文:Ether’s Run Takes 2021 to the Known Edges of Altcoin Season