ツイッター共同創業者のジャック・ドーシー氏が初めて投稿したツイートは、ノンファンジブル・トークン(NFT)としてオークションにかけられ、約290万ドル(約3億2000万円)で落札された。そのデジタルトークンを落札したシーナ・エスタビ(Sina Estavi)氏がイランで逮捕されたと、同氏の認証済みツイッターアカウントが投稿した(現在、投稿は削除されている)。
イラン政府はエスタビ氏の会社のメンバーを逮捕したことを認めているが、エスタビ氏本人かどうかは不明だ。複数の現地メディアによると、エスタビ氏は拘束されているという。
ツイッターアカウントを押収
イラン当局は17日朝、エスタビ氏のツイッターアカウントを押収した模様だ。同アカウントは「経済犯罪特別法廷の命令により、このアカウントのオーナーは経済システムを混乱させた容疑で逮捕された」とツイートした。
罪状はまだ特定されていないが、ツイートは、追加情報はイスラム革命防衛隊のサイバー防衛コマンドの関連組織、組織犯罪捜査センターのウェブサイトで得ることができると書いている。ツイートは17日の8:48(協定世界時:UTC=日本時間17:48)に投稿された。
組織犯罪捜査センターのウェブサイトに掲載された声明によると、同社の捜査は9カ月前に開始されたという。声明にはエスタビ氏本人の名前はないが、地元メディアの「Mehrnews」は、声明はエスタビ氏の逮捕を認めたものだと伝えた。
エスタビ氏の逮捕を伝えたツイートは、17日16:40(協定世界時=日本時間23:40)頃に同アカウントによって削除された。
エスタビ氏をめぐる疑惑
エスタビ氏は、マレーシアの暗号資産取引所クリプトランド(CryptoLand)も率いている。3月、エスタビ氏はジャック・ドーシー氏の初ツイートNFTをめぐって、トロン(Tron)創業者のジャスティン・サン(Justin Sun)氏と入札で競い、勝利した。エスタビ氏はドーシー氏の「ジェネシス・ツイート」をレオナルド・ダ・ヴィンチの「モナリザ」にたとえて、「人類の歴史の一部」と呼んだ。
エスタビ氏に対する疑惑は以前から噂されていた。1月、エスタビ氏はBitcoin.comの共同設立者、メイト・トーケイ(Mate Tokay)氏から、アドバイザー報酬の未払いと、同社が無断でトーケイ氏の名前を使用したことで訴えられている。
エスタビ氏がドーシー氏のジェネシス・ツイートを購入した直後、一部の関係者はエスタビ氏が詐欺行為を行い、投資家を欺いているとツイッターで批判した。
クリプトランドのウェブサイトには当記事執筆時点で、「access denied」というエラーメッセージが表示されている。
組織犯罪捜査センターの声明は、クリプトランドのプロジェクトは「違法で、信頼性がなく、裏付けがない」ことを示唆し、イランのユーザーは、「金融リテラシーやサイバースペースでの投資についての知識が乏しいため」にいまだに暗号資産関連の詐欺行為の罠にはまっていると述べた。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸、佐藤茂
|画像:イランの首都テヘラン(Shutterstock)
|原文:Buyer of Jack Dorsey’s First Tweet Reportedly Arrested in Iran