中銀デジタル通貨を発行しない国が直面するリスクとは:ECB

欧州中央銀行(ECB)は「The international role of the euro(ユーロの国際的役割)」と題したレポートを発表、中央銀行デジタル通貨(CBDC)を発行しないことを選択した国にとってのリスクを説明している。

6月2日に発表されたレポートは、国内および国境を越える決済を国外の事業者に握られる可能性を指摘。その一例として、「人工的な通貨を提供する可能性のある海外のテクノロジー企業」をあげた。すなわち、2019年の発表時に金融業界に衝撃を与えたフェイスブック主導のステーブルコインプロジェクト「ディエム(Diem、旧リブラ)」などだ。

こうした民間企業が発行するデジタル通貨による市場支配は、金融システムの安定性を脅かす事態になれば、消費者や企業をリスクにさらすことになる。

「中央銀行デジタル通貨(CBDC)の発行は、国内の決済システムの自律性とデジタル世界での通貨の国際的な使用を維持することにつながる」とレポートは結論づけている。

またCBDCが、自国以外の通貨システムが不安定な国で使われることになれば、その通貨の国際的なポジションを高めることになる。レポートによると、それは同時に「そうした国々の金融政策の自律性を低下させる」という。

欧州委員会と欧州中央銀行(ECB)は、2021年に入ってからデジタル・ユーロの発行を検討しており、3月にはクリスティーヌ・ラガルド総裁は、発行を決定した場合には4年以内に発行できると述べている。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸、佐藤茂
|画像:欧州中央銀行(Shutterstock)
|原文:ECB Report Highlights Risks of Not Launching CBDC