仮想通貨を「暗号資産」に。改正資金決済法成立

仮想通貨の管理などへの規制を強化する改正資金決済法と改正金融商品取引法(金商法)が5月31日、参議院本会議で可決、成立した。2020年4月施行の見通し。

法律は仮想通貨の呼称を「暗号資産」に変更することなどを盛り込んだ。また、これまで規制の対象だった仮想通貨の交換業者に加え、その管理サービスだけを行う事業者も「暗号資産交換業」に含める。そのほか、仮想通貨を金商法の対象に加え、証拠金取引にも規制を加える。

同法が施行されると、単純な仮想通貨の保管に対しても厳格な管理体制が求められるようになり、資金力に乏しいベンチャー企業の事業環境は大きく変わる。

ベンチャー企業の事業環境が大きく変わる

トークン管理を含むサービスを展開するALISの安昌浩CEO(最高経営責任者)は4月、自身のブログで「今以上に厳しい管理体制が義務づけられると、小規模事業者は潤沢な資金を有していない限り、既存の事業を維持することができなくなる可能性もある」と危機感を表明している

仮想通貨や金融面の法令に詳しいアンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナーの河合健氏は、CoinDesk Japanの取材に対して次のように述べた。

「今回の法案の通過により、これまで不明瞭だった資金決済法の解釈や運用が明確化されたことになる。利用者の保護をはかるための基準がクリアになったことで、事業者にとってはビジネスの環境が整うことを意味するだろう。今後、政府令やガイドラインによって、新たに規制対象となるカストディ業務・ウォレットサービスの範囲や、セキュリティトークンが第一項有価証券にあたる場合と第二項有価証券にあたる場合の区別の基準などが定められていくことになる。利用者保護を進める一方で、イノベーション促進のバランスに配慮したものにしていく必要があるだろう」

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文:小西雄志
編集:佐藤茂、浦上早苗
写真:photolibrary
(編集部より:河合健氏のコメントを追記し、記事を更新しました)