スタートアップのNFTジーニアス(NFT Genius)が今週、シードラウンドで調達した400万ドルを、ダッパーラボが開発したブロックチェーン「フロー(Flow)」上で展開するNFTマーケットプレイスの開発に充てると発表した。
今回の調達ラウンドには、ダッパーラボ(Dapper Labs)のCEO、ロハム・ガレゴズロウ(Roham Gharegozlou)氏、米NBAバスケットボールチーム「ダラス・マーベリックス」のオーナーで、著名投資家のマーク・キューバン(Mark Cuban)氏、俳優のアシュトン・カッチャー氏、そしてビットコインコミュニティで人気のアンソニー・ポンプリアーノ(Anthony Pompliano)氏が参画した。
NFTジーニアスは音楽に重点を置いているが、発表によると、今後はスポーツやゲーム、さらにはコメディーの世界にもNFTを広げる計画だ。白熱していたNFT市場も最近は需要がひと段落しているのも関わらず、同社はNFTの人気は継続すると見込んでいる。
NFTはすでに、音楽業界でも人気を集め始めている。3月には、ラッパーのポスト・マローンが、コンサート・ストリーミングサービスの「Aux Live」と共同で2つ目となるNFTをリリースした。音楽関連のNFTの売り上げは、2月だけでも2500万ドルを超えたと報じられている。
「NFTジーニアスと他社の違いは、インタラクティブなエクスペリエンスと、有意義なバーチャルでのつながりが同時に得られる場を生み出している点だ」とキューバン氏は述べた。
デジタル「ファンフィクション」
キューバン氏は、NFTの魅力を「ファンフィクションという現象」と対比した。ファンフィクションとは、お気に入りの本や映画に関連する自らの作品をファンが生み出すこと。クリエーターと消費者の関係が、インターネット時代に発展したものだ。
そのような関係が、NFTジーニアスの企業理念の中心になっていると、共同創業者でCEOのジェレミー・ボーン(Jeremy Born)氏は話す。NFTのストーリーテリングの力によって革命を起こすことのできるビジネスの例として、音楽業界を挙げた。
「音楽業界はストリーミングを中心とするものへと変容した。再生回数、チェック回数、ダウンロード回数がすべてになっている」とボーン氏は言う。「アーティストは成功するために、この型にはまったパターンを押し付けられている。かつて音楽は、コレクションできるかどうかが一番大切だった。NFTはそのようなコレクションが可能という側面を音楽業界に再びもたらし、アーティストが聞き手とよりクリエイティブにつながることを可能にすると考えている」
NFTジーニアスのマーケットプレイスは準備中であるが、同社は2020年の秋にビットコインをテーマとしたNFTコレクションをリリースした。このコレクションによってユーザーは、1BTCの賞金をかけてプラットフォームをまたいだ宝探しを行い、それを通じてビットコイン誕生のストーリーを体験することができた。
NFT業界の未来がどのようになるかという明確なアイディアを持っている人はほとんどいないが、NFTジーニアスは没入型エクスペリエンスに賭けているようだ。
「体験的な側面、(NFTに)どれくらい深く没入し、ファンとつながることができるか、そこが私たちにとっては鍵となる。勝者となるのは、他の人ができないような方法でファンとつながることのできる人たちだ」とボーン氏は語った。
|翻訳・編集:山口晶子、佐藤茂
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|原文:Music-Focused NFT Marketplace Raises $4M From Cuban, Kutcher, Dapper CEO