GMOインターネットグループが、NFT(ノンファンジブル・トークン)の事業会社「GMOアダム」を設立した。GMO創業者兼社長の熊谷正寿氏が16日、都内で会見を開き、同事業のビジョンを明らかにした。
GMOアダムは8月に、開発を進めているNFTマーケットプレイス「Adam byGMO」のベータ版の運営を開始する。年内には正式版のローンチを計画していると、熊谷氏は述べた。NFTの基盤技術であるブロックチェーンの特性を活かし、音楽家やアニメーターなど、コンテンツを創りあげたクリエイターが対価を得られるエコシステムを築いていく。
熊谷氏は「人生で1番目の衝撃的出会いはインターネット。2番目の衝撃はブロックチェーンの出会いだった。3番目の衝撃的出会いとなったのがNFTだ」と述べた上で、偽造不可な証明証書としての機能を果たすNFTは、デジタルコンテンツのクリエイターとIP(知的所有権)の所有者に主導権を戻すことが可能になると説明した。
GMOアダムは、UI・UXに重点を置いたNFTマーケットプレイスの開発を進めていく。北米では「OpenSea」や「Nifty」などの複数のNFTマーケットプレイスがすでに運営を始めているが、GMOはまずは日本のユーザーにとって使いやすいマーケットプレイスの開発を進めていく(熊谷氏)。
Adam byGMOは当面、日本語・英語・中国語の3言語を準備し、順次他の言語を追加していく。NFT取引における決済方法は、法定通貨、イーサリアム(ETH)を含む暗号資産(仮想通貨)、クレジットカード、銀行振り込みを想定している。
NFTはブロックチェーンを基盤に作成されるトークンで、デジタルコンテンツの所有を証明することができる。日本では、マネックスグループ傘下で暗号資産交換業を運営するコインチェックが今年、NFTマーケットプレイスのベータ版を開設している。また、LINEは現在、独自に開発したブロックチェーンを活用したNFT事業の準備を進めている。
海外では今年3月に、デジタルアーティストのビープル(Beeple)が手がけた作品が、クリスティのオークションで6900万ドル(約76億円)の値が付けられた。
GMOグループは、傘下の10社が株式上場しており、グループ全体の時価総額は約1.8兆円。インターネット広告、金融、暗号資産(仮想通貨)、ネットインフラ事業を軸に、事業を拡大させてきた。GMOコインは2017年に暗号資産交換業を開始。ブロックチェーンを基盤技術とする暗号資産事業で蓄積したノウハウを、Adam byGMOにも活かしていく。
熊谷氏は、NFTはスポーツやアニメ、映像、書籍、アイドルなどの領域での利用が始まっていくが、将来的には証券、保険、不動産、チケットの世界でも広がっていくだろうと述べた。
|コピー・編集:佐藤茂
|画像:GMOの会見より