デジタル証券(セキュリティトークン)の発行から流通までを可能にするプラットフォームを開発する米セキュリタイズ(Securitize)が、4800万ドル(約53億円)の資金を調達した。
今回の資金調達ラウンドは、セキュリタイズにとってはシリーズBとなり、米投資銀行大手モルガン・スタンレーの投資会社であるモルガン・スタンレー・タクティカル・バリュー(Morgan Stanley Tactical Value)と、ベンチャーキャピタルのブロックチェーン・キャピタル(Blockchain Capital)が共同で主導した。
シリーズBには、日本企業のNTTデータと三井住友信託銀行に加えて、インターネット・テクノロジー領域で投資活動を行っているVCのIDCベンチャーズ(IDC Ventures)や、Ava Labs、Migration Capitalなどが参画した。
今回のラウンドに参加した企業と、既存の出資者は、セキュリタイズのプラットフォームで発行されるデジタル証券(セキュリティトークン)の形で株式を受け取る。セキュリティトークン(Security Token=ST)は、非中央集権的に管理できるブロックチェーン上で、社債や株式、不動産などの有価証券をデジタル証券として発行・流通する仕組み。
官民が注目するセキュリティトークン
日本では、野村ホールディングスや三菱UFJフィナンシャル、みずほフィナンシャルなどの金融大手がそれぞれSTの研究開発を進めてきた。今月には、野村證券、SBI証券、SMBC日興証券の3社と、ブロックチェーンを基盤とした金融プラットフォームを開発するBOOSTRYが、セキュリティトークンを扱うネットワークを運営するコンソーシアムを立ち上げている。
日本政府も、セキュリティトークンの事業環境を整備する動きを強めようとしている。政府は今月18日の臨時閣議で、経済財政運営の指針と成長戦略を閣議決定。同日に公開された成長戦略の計画案には、セキュリティトークンに関連する事業環境の整備を進めると記された。
セキュリタイズによると、同社のプラットフォームはすでに30万人を超える投資家に利用され、過去4年間で150以上の企業の資金調達に参加してきた。米サンフランシスコに本社を置くセキュリタイズにはこれまで、三菱UFJやSBIホールディングス、野村、ソニー・フィナンシャル・ベンチャーズなどの日本企業が出資してきた。
シリーズBを経て、セキュリタイズは、モルガン・スタンレー・タクティカル・バリューの共同責任者であるペドロ・テイシェイラ氏を取締役に任命した。セキュリタイズの経営を司っているのは、同社の共同創業者でもあるカルロス・ドミンゴ氏。
|編集:佐藤茂
|写真:セキュリタイズ共同創業者兼CEOのカルロス・ドミンゴ氏(撮影:coindesk JAPAN)