ビットコイン、6月は他の暗号資産を上回るパフォーマンス【市場動向】

ビットコインは30日、トレーダーが月末の利益確定を狙ったこともあり下落した。第2四半期(4−6月期)に価格は約40%下落し、4四半期続いた上昇は途絶えた。

4−6月期の下落は、規制の強化、金融引き締め政策への懸念、環境問題、機関投資家の需要の鈍化などが引き金。6月には価格は横ばいとなり、3万ドル〜4万ドルの狭いレンジで推移した。当記事執筆時点、ビットコインは3万4000ドル付近で取引され、過去24時間で約4%の下落となっている。

「価格の変動は、ボラティリティは新しく、拡大中の市場の基本的な部分というアイデアを裏付けている。投資家は依然として押し目買いをしている」と暗号資産取引所ボイジャー・デジタル(Voyager Digital)のCEO、スティーブ・エールリヒ(Steve Elrich)氏は述べた。

最新価格

●ビットコイン(BTC):3万4962.8ドル(−3.92%:過去24時間)
●イーサリアム(ETH):2274.5ドル(+2.31%)

●S&P500:4300.4(+0.2%)
●ゴールド:1769.5ドル(+0.5)
●10年物米国債:1.458%(29日:1.473%)

6月の相対的パフォーマンス

ビットコインは6月、リップル(XRP)、イオス(EOS)、リンク(LINK)が30%超の下落となったことに対して、2.7%の下落と他の主要な暗号資産を上回るパフォーマンスとなった。

アルトコインの下落により、ビットコインのドミナンス(暗号資産市場の時価総額に占めるビットコインの割当)は約45%で安定したが、この数週間でアルトコイン需要が高まっているサインがある。

「ビットコインは依然として週の純購入額のトップだが、アルトコインが価格下落のなかで人気を集めており、柴犬コイン(SHIB)とイーサリアムは今週、上位となった」(エールリヒ氏)

出典:CoinDesk Research

ビットコインとイーサリアムのボラティリティは、2020年1月の高水準よりは低いものの、依然として高水準にある。この2つの暗号通貨はこの1年、大きなボラティリティとなっている一方で、伝統的な市場は比較的穏やかに推移している。

出典:CoinDesk Research, St. Louis Fed, Yahoo Finance

ビットコインオプションの確率

ビットコインオプション市場は、スキュー(Skew)のデータによると年末までに価格が2万ドル以上となっている確率を65%と見ている。さらに5万ドル以上を回復する確率は20%。

DeMark Indicatorsによると、先週の価格チャートに下落局面での疲弊サインが見られたため、ビットコインのテクニカル分析面も改善。これは中期的に3万ドル以上での買いが活発になる可能性を示している。

出典 : Skew

「デスクロス」でリターン低下

ビットコインは6月19日に50日移動平均線が200日移動平均線を下回り、「デス・クロス」となった。通常、デス・クロスは強気トレンドから弱気トレンドへの転換を示す。

デスクロスの後のリターンはさまざまで、低水準からマイナスになる傾向がある。「デスクロスは、1カ月、3カ月、6カ月、12カ月の期間において常に下落相場の予測因子となるものではないと考える」とコインシェアーズ(CoinShares)は6月22日にツイートした。

出典:CoinShares

ビットコインのハッシュレートは安定

ビットコインのハッシュレート(取引の検証とブロックのマイニングに使われる計算能力)は10日連続して下落した後に安定し、業界の専門家は中国のマイニングへの規制からの悪影響は終わったかもしれないと推測している。

ビットコインのハッシュレートの7日間平均は29日に90.6エクサハッシュ/秒(EH/s)となり、28日の90.5EH/秒からわずかに上昇した。グラスノード(Glassnode)のデータによると、この数字はまだ5月中旬のピークの約半分という。

暗号資産金融サービスプラットフォームを提供するBitOodaのサム・ドクター(Sam Doctor)氏は、この下落の大部分は中国が国内での暗号資産マイニングを停止したためであり、イランからも若干の影響があったと述べた。

「中国にはアクティブなハッシュレートは残っていないと考えている」

ビットコインのブロック生成間隔が23分を超えた。
出典:Arcane Research

アルトコインの状況

イーサリアムのマイニング:イーサリアム2.0のバリデーターの残高は、30ETHから65ETHのレンジで変動している。この大きな差の主な理由は、一部のバリデーターが他のバリデーターよりも利益を上げているためでも、いち早く報酬を獲得し始めたためでもない。17万8000のうちの約170のバリデーターが、最低限必要となる32ETHをたまたま2回預け入れただけと見られている。

USDコインの拡大:現在、4つのブロックチェーンで運用されている米ドル連動型ステーブルコインのUSDコイン(USDC)が、さらに8~10のブロックチェーンに拡大する可能性がある。約250億ドルの時価総額を持つUSDコインにとって、これまでで最大の拡大であり、時価総額630億ドルを誇るテザー(USDT)の8つを超えることになる。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:CoinDesk Research
|原文:Market Wrap: Bitcoin Outperforms Top Cryptocurrencies in June