規制懸念が再燃し、8日、暗号資産は下落した。ビットコインは当記事執筆時点、3万3000ドルを割り、過去24時間で5%近い下落した。1カ月あまり続いたレンジ相場の底、3万ドル付近で横ばいとなる可能性がある。
「今は起爆剤や市場を動かすイベントがない。8月中旬〜下旬まで、ボラティリティは下落圧力にさらされると予想している」とQCPキャピタルは述べている。
暗号資産取引会社B2C2のクリス・ディック(Chris Dick)氏は「ビットコインについて一部のファンドは、ストーリーが欠如し、取引所での流動性が低下しているなか、ポジティブなニュースがあれば、価格が上昇する可能性があると推測しているようだ」とコメントした。
最新価格
●ビットコイン(BTC):3万2962.45ドル、−4.68%
●イーサリアム(ETH):2157.6ドル、−8.93%
●S&P500:4321.07、−0.85%
●ゴールド:1801.8ドル、−0.11%
●10年物米国債:1.3%、7日:1.318%
規制による逆風
拡大する規制懸念がこの数カ月、価格に重くのしかかっている。中国人民銀行(PBoC)の范一飛・副総裁は8日、「グローバルステーブルコインは、国際通貨システムや決済システムにリスクと課題をもたらす可能性がある」と述べた。
ヨーロッパでは複数の国が、マネーロンダリングに利用される可能性がある暗号資産を規制する新組織の設立を提案した。ロイターが8日伝えたところによると、懸念事項にはテロ資金供与や組織犯罪も含まれ、これらはEU(欧州連合)レベルで対処すべきと提案されているという。
暗号資産のリスクは、西アフリカの15カ国が加盟する西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)の議会でも検討された。またアメリカではエリザベス・ウォーレン上院議員が証券取引委員会(SEC)に対して、暗号資産を規制するうえでの役割を今月末までに明らかにするよう求めている。
ステーブルコインから暗号資産へ
ビットコインとステーブルコインの供給量の関係を測るステーブルコイン・サプライ・レシオ(SSR)は、1月のピークから急落した後、安定している。
「SSRが低いことは、多くのステーブルコインが様子見状態にあること、つまり暗号資産に対する購買力が高いことを意味する」と独立系金融調査会社ファンドストラット(Fundstrat)のデビッド・グライダー(David Grider)氏は8日発行したニュースレターに書いている。
SSRを見ると、2021年のほとんどの期間、資金はビットコインからステーブルコインに移動していたが、最近底を打った。これはステーブルコインがビットコイン購入に使われ、ビットコイン価格の方向性に対する投資家の自信を示している可能性がある。
サークルが株式公開へ
時価総額世界第2位のステーブルコイン、USDコイン(USDC)を運営する米サークル(Circle)は特別買収目的会社(SPAC)との合併を通じてニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場すると発表した。合併後の時価総額は45億ドル(約4900億円)と見られている。
同社CEOのジェレミー・アレール(Jeremy Allaire)氏は、株式上場について「我々がUSDコインを中心に構築しているビジネスおよびUSDコインを裏付ける準備金についても、大幅に透明性を高める機会を作ることになる」とツイートした。
USDコインの発行残高は1年前の10億ドル未満から約250億ドルに増加しているが、一方で裏付けとなる資産についての透明性を求める投資家も増えている。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:CoinDesk
|原文:Market Wrap: Bitcoin Sells Off as Regulatory Concerns Resurface