ビットコインは14日、前日からの下落幅を拡大、一方、ゴールドは米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策の引き締めが加速するとの見方が強まるなか、回復力を維持している。
ビットコインは当記事執筆時点、3万2300ドル付近で取引され、過去24時間で1.4%下落。CoinDesk 20のデータによると、13日に3万3000ドルを超えたものの、14日朝に一時、2週間半ぶりの低水準となる3万1669ドルまで下落した。
FRBによる利上げ、つまりセントルイス連銀のブラード総裁が示唆したテーパリング(量的緩和の段階的縮小)の可能性は、米ドルの魅力を高め、価値保存の手段と考えられているビットコインやゴールドのような資産の魅力を低下させる。
ゴールドは価格を維持
しかしビットコインが下落している一方で、ゴールドは現在、0.35%上昇の1オンス1814ドルとなっている。この矛盾について、暗号資産サービスプロバイダーのアンバー・グループ(Amber Group)は、当面は利上げの可能性を考え過ぎないよう注意を呼びかけた。
「今朝のビットコインの弱さは、FRBによる利上げ懸念と関連している可能性が高い。しかし他のリスク資産(株式)が高値を更新し、ゴールドが上昇しているなら、この利上げシナリオを逆風とすることは難しい」(アンバー・グループ)。
とはいえ、一部のアナリストは、景気刺激策の引き締めや段階的縮小に対する懸念は、伝統的市場にとっては脅威ではないかもしれないが、ビットコインに直接的な下落リスクをもたらすと述べている。
「テーパリングは本当に懸念事項なのか?広範な市場にとってはそうではないが、機関投資家がリスクが極めて高いと考えているビットコインにとっては、リスクとなる。ビットコイン投資家はまだ利益に敏感で、強気にも弱気にも過剰反応する傾向がある」とデータサイトのメッサーリ(Messari)はブログに記した。
先行き不透明
5月中旬にビットコインが5万8000ドルから3万ドルまで下落したのは、4月にあまりかのインフレ率の上昇が伝えられ、FRBが景気刺激策の縮小を検討するのではないかとの懸念が高まったためだ。
スタック・ファンズ(Stack Funds)の共同創業者兼COO、マシュー・ディブ(Matthew Dibb)氏は「FRBの利上げに対する懸念の高まりは、短期的にはビットコインには良い兆候ではないだろう。ビットコインはインフレに対するヘッジになるというよりも、株式や流動性、個人投資家のセンチメントとの相関が強くなっている」とコメントした。
ディブ氏によると、この数週間、ビットコインはテクニカル分析では弱くなっており、アメリカの消費者物価指数の発表が売り圧力に拍車をかける可能性があるという。
今週、ビットコインは圧力を受けているものの、まだ3万ドル〜4万ドルのレンジにとどまっている。「まだこのレンジにとどまっているうちは、現在の値動きを読み取ることは難しい」とアンバー・グループは述べた。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
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|原文:Bitcoin Dips Below $32K as Fed Rate-Hike Bets Rise; Gold Remains Resilient