前回の記事(https://www.coindeskjapan.com/117210/)に引き続き、本記事では以下6社の金融機関の為替相場見通しをまとめる。
- 明治安田アセットマネジメント
- 三菱UFJ国際投信
- 三井住友信託銀行
- 岡三アセットマネジメント
- みずほ銀行
- 三菱UFJ銀行
※発表が早い順
なお、各社の予想は執筆時期が異なる点(公表は2021年7月26~8月2日)、また将来の値動きについて保証するものではない点に留意してほしい。
明治安田AM、当面ドル円の上昇を予想
明治安田アセットマネジメントは7月26日、「マーケット見通し(総合)(2021年7月26日)」の中で、当面「米ドル/円」の上昇を予想した。
米ISM景況感指数が製造業、非製造業ともに高水準で推移していると指摘。景気回復見通しのほか、FRB(米中銀)による利上げ開始時期が注目され、米ドルは円に対して緩やかな上昇が見込まれるとした。
三菱UFJ国際、半年後ドル円を106~114円と予想
三菱UFJ国際投信は7月28日、「INVESTMENT STRATEGY MONTHLY<投資戦略マンスリー>(2021年8月号)」の中で為替相場を以下のように予想した。
三菱UFJ国際、為替相場見通し
直近値 (2021年7月27日時点) | 6か月後の見通し | |
米ドル円 | 109.76 | 106─114 |
ユーロ円 | 129.67 | 125─137 |
豪ドル円 | 80.78 | 79─89 |
NZドル円 | 76.33 | 73─83 |
FRBの金融政策正常化に向けた路線に変更はなく、資産買入縮小は2022年初から実施されるとみる。そのため米ドルは金利高から長期的には選好されやすいとした。
ただし目先は米連邦政府の債務上限問題などを背景に、市場が混乱に陥る可能性を指摘。市場参加者は積極的なドル買いポジションには慎重になると予想した。
三井住友信託、8月ドル円を108.5~111.5円と予想
三井住友信託銀行は7月29日、「8月為替相場展望」の中で為替相場を以下のように予想した。
三井住友信託、為替相場見通し
8月の予想レンジ | |
米ドル円 | 108.5─111.5 |
ユーロ円 | 126─132 |
ユーロドル | 1.15─1.20 |
8月の「米ドル/円」は上値の重い展開を見込む。7月FOMC(連邦公開市場委員会)声明でFRB議長がハト派発言を行ったことから、早期の金融緩和縮小期待は後退していると指摘。8月も米長期金利の低位安定は継続の可能性が高いとし、「米ドル/円」の上値は重いとした。
一方、米金利の低下は米株式市場にとっては追い風になると見込む。リスク選好からの円売りが引き続き「米ドル/円」の下値をサポートするとも指摘した。
岡三AM、8~10月のドル円を107~114円と予想
岡三アセットマネジメントは7月30日、「マーケットビューVol.59株式・債券・為替市場の見通し」の中で為替相場を以下のように予想した。
岡三AM、為替相場見通し
7月27日 | 8~10月の予想レンジ | |
米ドル円 | 109.78 | 107─114 |
ユーロ円 | 129.72 | 125─134 |
ユーロドル | 1.18 | 1.13─1.23 |
「米ドル/円」は4月以降108~111円のレンジで推移しているが、当面はレンジ下限に向け円高が進む可能性が高いとみる。リスクオフがその理由だ。デルタ株の世界的な感染拡大や金利の低下、株価の上値の重さなど、リスクオフの動きが強まっていると指摘した。
ただし、中期的には「米ドル/円」の上昇を見込む。堅調な米国経済を背景にFRBが量的緩和の縮小に踏み切り利上げを視野に入れる一方、日銀の金融政策正常化は遅れると指摘。日米の金利差から米ドル高・円安基調に転じるとした。
みずほ銀行、2022年9月末ドル円を116円と予想
みずほ銀行は7月30日、「為替相場見通し(2021年7月30日)」の中で為替相場を以下のように予想した。
みずほ銀行、為替相場見通し
2021年 10~12月期 | 2022年 1~3月期 | 2022年 4~6月期 | 2022年 7~9月期 | |
米ドル円 | 110─115 (113) | 111─116 (114) | 111─116 (115) | 111─117 (116) |
ユーロ円 | 129─136 (131) | 129─136 (131) | 130─137 (132) | 131─139 (132) |
ユーロドル | 1.15─1.20 (1.16) | 1.14─1.19 (1.15) | 1.14─1.19 (1.15) | 1.13─1.19 (1.14) |
「米ドル/円」の上昇を予想。FRBが金融政策の正常化を進めるという前提に立てば、(足元の)米金利の低下や米ドルが売られ続ける展開には違和感があると指摘。また7月改訂のIMF(国際通貨基金)成長率見通しで日本がG7で唯一下方修正されたこと、また株価や為替の年初来パフォーマンスが低迷していることを例に挙げ、日本の経済状況から円を買う理由に乏しいとし、ドル高・円安の展開を予想した。
8月ドル円は108~112円を見込む
みずほ銀行は8月2日、「みずほディーラーズアイ(2021年8月号)」の中で、8月の「米ドル/円」を108~112円と予想した。底堅い展開を見込む。
デルタ株拡大による不透明感は根強いものの、「米ドル/円」の反応はレンジ内にとどまっていると指摘。リスクオフによる円買いは期待できないとした。むしろ米主要株価指数が最高値を更新し、米経済正常化の期待感から米金利に上昇圧力がかかりやすいとみる。金利上昇による「米ドル/円」上昇を予想した。
三菱UFJ銀行、2022年6月末を105円と予想
三菱UFJ銀行は8月2日、「FX Monthly(2021年8月号)」の中で、為替相場を以下のように予想した。
三菱UFJ銀行、為替相場見通し
2021年 10~12月 | 2022年 1~3月 | 2022年 4~6月 | |
米ドル円 | 105─111 (107) | 104─110 (106) | 103─109 (105) |
年度末に向け「米ドル/円」の下落を見込む。米金融政策の正常化がいずれ金利上昇と米ドル高をもたらすという期待は「米ドル/円」を下支えするとみる。しかし米国の経常赤字拡大の可能性が高いとし、そこから生じる米ドル安圧力を跳ね返すだけの金利上昇は株価の下落を招き、リスク回避の円高になるおそれが強いとした。
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|文・編集:coindesk JAPAN編集部
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